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2011年11月7日の記事。

コロッケを差し出す

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111107コクリコ坂から

 宮崎吾朗監督『コクリコ坂から』を観た。都内の映画館ではほとんど上映を終えていて、川崎のチネチッタまで出向くことになった。どうせならば映画の舞台である横浜まで行きたいところだったのだけど。
 吾朗監督の映画は、『ゲド戦記』に続いて二作目ということになる。一作目では、荒いという印象があった。映像が荒いし、心理描写が荒い。でも、その荒いと感じられるところも含めて、僕はわりと好感をもって観た。そして駿監督の作品にはない、病んだ感じが前面に出てくるところも、腑に落ちるものだった。
 さて、今回の二作目。映像は荒くなかったが、心理描写はやはり荒い。ぶっきらぼうというべきか。しかし、やはりそこがいい、とも思う。観ているこちらが感情の空白を想像で埋めていく作業が生じ、結果として作品世界に入り込むことになる。この映画には、ずいぶんときめいた。男の子(俊)がコロッケを買って、「食えよ」と女の子(海)に差し出すところなど、よかった。取り壊しの危機にある部室棟の魔窟的な雰囲気なんかもおもしろかった。ただ、『ゲド戦記』でもあったのだけど、主人公が非常に大粒の涙を流す場面があり、こういう理由で泣いているのだろうなと考えれば察しはつくのだけど、考えた分だけ少し置いて行かれた気分になる。そうはいっても、全般にからっとして、さわやかな映画であった。




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