『毎日新聞』2024年12月28日付朝刊読書面の「話題の本」コーナーで、『大観音の傾き』が取り上げられました。ご執筆は武田砂鉄さんです。
一部を引用にてご紹介します。
傾いているはずがないだろう。じっくり見る。傾いているような気もしてくる。このまま倒れてしまうのか。爆破するのはどうかとの案まで出る。そもそも、あの震災を経て、今、大観音の気持ちはいかなるものなのか。
(中略)大観音に感じる悲哀はどこから来るのだろう。読み進めるうちに大観音と一体化し始める自分に気づく。簡素に説明し難い小説だが、体の深部に潜り込んでくる。
今週の本棚・話題の本『大観音の傾き』=武田砂鉄(毎日新聞)
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『河北新報』12月22日付朝刊に、『大観音の傾き』刊行記念トークイベントの報告記事が載りました。見出しは〈「大観音の傾き」単行本化記念 山野辺太郎さん 執筆の思い語る 河北新報社で催し〉。一部を引用にてご紹介します。
河北新報朝刊「東北の文芸」面に4〜9月連載された小説「大観音の傾き」を手がけた仙台市出身の作家山野辺太郎さん(49)のトークイベントが21日、⻘葉区の河北新報社本館ホールであった。(中略)
山野辺さんは「なじみのある土地を舞台に書きたい思いはずっとあった。仙台の人はもちろん、遠方の人にもいずれは読んでもらい、仙台の中と外がつながる接点の役目を担えればうれしい」と語った。作品の一部を朗読で披露した。
下記のページに、報告記事とともにイベントのフルタイム動画がアップされています。閲覧には無料の会員登録が必要です。
【動画】河北新報連載小説「大観音の傾き」の作者・山野辺さん、仙台でトークイベント 書籍化記念 挿画担当の樋口さんをゲストに(河北新報オンライン)
また、河北新報オンラインのYouTubeにて、1分弱のダイジェスト動画をご覧いただけます。
【ダイジェスト】作家山野辺太郎さん、仙台で小説「大観音の傾き」出版記念トークショー(YouTube)
12月24日ごろ、角川文庫より『いつか深い穴に落ちるまで』が発売となります。
デビュー作が文庫になりました。初めての文庫です。
村田沙耶香さん、ラランド・ニシダさんに帯の言葉を寄せていただきました。
この小説は、突拍子もないのに生真面目で、奇妙なのに誠実で、愛おしいけれど残酷な、私にとって忘れ難い物語でした。
——村田沙耶香氏
作り込まれたリアリティーと荒唐無稽なファンタジーの狭間を行き来する異空間的小説。
——ニシダ氏(ラランド)
巻末の解説は、豊﨑由美さんがご執筆くださいました。タイトルは「想像力のブレーキペダルを踏まない男」です。
装丁は、『大観音の傾き』と同じく、鈴木成一さんです。深い穴の向こうに光が見える表紙カバーとなっています。
裏表紙には、次のような紹介文が載っています。
だって、近道じゃありませんか。戦後まもない日本で、ブラジルまで直通の穴を掘る前代未聞の新事業が発案された。極秘事業の「広報係」となった鈴木一夫は、計画の前史を調べ、現在まで続く工事の進捗を記録していく。地球の裏の広報係との交流や、事業存続の危機を経て、ついに「穴」が開通したとの報告を受けるが……。奇想天外な発想力で多くの本読みたちを唸らせた、唯一無二のサラリーマン小説。第55回文藝賞受賞作。
初出は『文藝』2018年冬号。河出書房新社から単行本が出たのは、2018年11月のことでした。文庫化に際して、加筆修正をしています。
文庫の記号は、角川文庫[や 75-1]です。よろしくお願いします。
出版社の『いつか深い穴に落ちるまで』紹介ページ(KADOKAWA)
『いつか深い穴に落ちるまで』を書店サイトで探す
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『河北新報』12月10日付朝刊の文化面に、『大観音の傾き』単行本刊行をめぐる著者インタビュー記事が掲載されました。ご執筆は同紙記者の菊地弘志さんです。
山野辺の発言箇所の一部を引用にてご紹介します。小説のモチーフとなった仙台大観音と、舞台の一つである「花咲ヶ丘」についてお話しした箇所です。
「大観音は東日本大震災の災厄を目の当たりにし、重い記憶を背負ったのと同時に、身じろぎもせず、なすすべもなく、という何もできない後ろめたさを抱えていたはず。小説として内なる声を伝えられたのであればよかった」
(中略)
「バブル期に開発されて荒れ放題となったいわゆる『限界ニュータウン』は、今の日本各地にあり得る場所の象徴ではないか。修司は今の自分を変えたい気持ちもあり、居場所を見つけたのだろう。そこに『帰る』というより『還る』という巡っていく感じで、その場所からも見える大観音の導きがあってたどり着いた気がしている」
内なる声 伝えられたら 作家・山野辺太郎さんに聞く 河北新報連載小説「大観音の傾き」単行本刊行(河北新報オンライン)
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記事では、12月21日(土)14時より仙台・河北新報社のホールで開催されるトークイベントも紹介されています。イベントの詳細とお申し込みは下記サイトにて。
お申し込みはこちらから(荒蝦夷)
単行本『大観音の傾き』(中央公論新社)の刊行を記念して、冒頭朗読の動画をYouTube「山野辺太郎チャンネル」にて公開しました。河北新報連載の第1回分まで読んでいます。
「東北の大きな街の丘のうえに、白くて異様に巨大なものがそびえ立っている。全身純白の大観音だ。そのすぐ近くまで、ついに修司はやってきた」
山野辺太郎「大観音の傾き」作者による冒頭朗読(YouTube)
下記のサイトにて、他の発表作の冒頭朗読も公開中です。
山野辺太郎チャンネル(YouTube)
河北新報の連載小説「大観音の傾き」が中央公論新社より単行本化されたのを記念して、トークイベントが開催されます。
ゲスト:樋口佳絵さん(画家、連載の挿画担当)
司会:土方正志さん(荒蝦夷、連載の編集担当)
主催:河北新報社、中央公論新社 共催:荒蝦夷
定員:100人(入場無料)、要申し込み
オンライン視聴も可能 ※【追記2】参照
大観音の傾きをめぐるあれこれを、樋口佳絵さん、土方正志さんとともに語ります。
当日は書籍の販売や、サイン会もあります。新刊『大観音の傾き』、既刊『孤島の飛来人』(中央公論新社)に加え、デビュー作の文庫化『いつか深い穴に落ちるまで』(角川文庫)の先行販売も。
会場では、新聞連載時の樋口佳絵さんの挿画が絵巻風に展示されます。こちらもぜひお楽しみに!
お申し込みはこちらから(荒蝦夷)
『河北新報』12月3日付朝刊に、イベントの告知記事が載りました。
朝刊小説「大観音の傾き」の作家・山野辺太郎さんトークショー 仙台で21日、単行本化記念(河北新報オンライン)
単行本『大観音の傾き』は、12月6日ごろ発売です。
出版社の『大観音の傾き』紹介ページ(中央公論新社)
【追記1】
イベントのご案内の画像ができました。ポスターにも、チラシにもなります。
貼り場所や置き場所に思い当たるところのあるかた、画像をダウンロード、印刷してご利用いただけましたら幸いです。A4ですが拡大・縮小も自由です。
『大観音の傾き』トークイベントのご案内(JPEGデータ)
【追記2】
本イベントがオンライン視聴に対応しました。下記のリンク先にアクセスしてください。
有料記事と表示されますが、河北新報オンラインへの無料会員登録で視聴できます。
ライブ配信に加えて、イベント終了後の視聴も可能です。
【動画】作家・山野辺太郎さんのトークショー映像、河北新報オンラインで21日配信 朝刊小説「大観音の傾き」単行本化記念(河北新報オンライン)
新刊『大観音の傾き』が中央公論新社より12月6日ごろ、発売となります。
本の帯には、松永K三蔵さんに推薦の言葉を寄せていただきました。
ひとり立ち続ける大観音の寂しさと慈しみ。声にならない声が、今、語られる。私は読みながら泣き、笑い、また泣いた。
——松永K三蔵氏
装丁は鈴木成一さんがご担当くださいました。表紙カバーの青空に映える仙台大観音の写真も、鈴木さんご自身が撮影されたものだそうです。
作品の紹介文が、帯の裏に載っています。
東北の大きな街の市役所の新入職員・高村修司。彼のいる出張所の近くには、白くて異様に巨大な大観音が立っている。あの大震災をきっかけに、近隣住民のなかに「大観音が傾いた」という者たちが現れ、その足元を押しはじめて数年が経っていた。大観音は傾いているのか、いないのか。修司はさまざまな人に出会い、ときに翻弄されながら、対応策を求めて奔走する——。
本作品は、『河北新報』2024年4月7日〜9月29日、毎週日曜朝刊の読書面に連載されたものです。書籍化にあたって加筆修正をおこなっています。
市役所の新人・高村修司と、丘に立つ大観音。この二人を中心とした「お仕事小説」でもあります。お読みいただけましたら幸いです。
出版社の『大観音の傾き』紹介ページ(中央公論新社)
『大観音の傾き』を書店サイトで探す
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「大観音の傾き」と「こんとんの居場所」が、『河北新報』で取り上げられました。
「大観音の傾き」のほうは、10月16日付朝刊「紙面スキャナー」にて言及されています。ご執筆は小地沢将之さんです。一部を引用にてご紹介します。
読書面の小説「大観音の傾き」が9月いっぱいで終了し、10月2日の文化面には著者の山野辺太郎さんによる寄稿が掲載された。物語の中でも重要な存在である仙台大観音を「あのおかた」と呼んでしまうあたりに、山野辺さんの人柄が浮かび上がる。
「こんとんの居場所」のほうは、10月22日付朝刊の記事にて、幻想小説の魅力を語り合うイベントについて報じるなかで言及されています。記事によると、イベントは同月19日、仙台のイービーンズにて開催。黒木あるじさん、植松靖夫さん、東雅夫さんが参加されたとのことです。こちらも一部を引用にてご紹介します。
黒木さんは、仙台市出身の作家山野辺太郎さんの小説「こんとんの居場所」を推薦。「不思議な手触りがあり、先が見えない。幻想文学好きの人に読んでほしい」と語った。
両記事は、オンライン版にも掲載されています。
[紙面センサー]災害の経験、広く伝えて/小地沢将之(宮城大事業構想学群准教授)(河北新報オンライン)
山形の作家・黒木あるじさんら 幻想文学の魅力伝える 仙台でトークイベント、お薦め作品紹介も(河北新報オンライン)
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