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小説などに関するお知らせブログ

新刊『恐竜時代が終わらない』、2024年5月中旬発売!

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 2024年5月中旬、小説単行本『恐竜時代が終わらない』(書肆侃侃房)が発売となります。
 表題作は『文學界』’21年7月号に掲載。書き下ろしの「最後のドッジボール」と併せて、父と子をめぐる長短二篇を収めました。

◇恐竜時代が終わらない
 世界オーラルヒストリー学会からの招きを受けて、男は胸のうちに秘めてきた「恐竜時代の出来事」を恐る恐る語りだす。

「僕に、咬みついてもいいんだよ」
(「恐竜時代が終わらない」より)

◇最後のドッジボール
 子供のころに聞いた、ドッジボールにまつわる父の秘密。大人になった「僕」は、ふたたび秘密の扉のまえに立つ。

「それは知らない。お父さんに訊いてみれば?」
(「最後のドッジボール」より)

 当サイトの「作品倉庫」に「恐竜時代が終わらない(冒頭)」を掲載しています。

 出版社の『恐竜時代が終わらない』紹介ページ(書肆侃侃房)
 http://www.kankanbou.com/books/novel/0625

 『恐竜時代が終わらない』を書店サイトで探す
 amazone-honhontohonyaclubkinokuniyarakutentsutaya

「大観音の傾き」河北新報で連載開始

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 『河北新報』4月7日朝刊に、連載小説「大観音の傾き」第1回《傾いているのか、いないのか》が載りました。
 冒頭を引用にてご紹介します。

 東北の大きな街の丘のうえに、白くて異様に巨大なものがそびえ立っている。全身純白の大観音だ。そのすぐ近くまで、ついに修司はやってきた。
 真正面に立って視線をゆっくり傾けてゆくと、ほとんど真上を見るくらいに至ったところで、ようやく巨像の顔に行き着いた。思わず、ため息が漏れる。こんなに近づいても、顔まではまだ遠い。ふっくらとしてつややかな頬の白さに、呆然と目を向けていた。
 丘に立つ大観音は、ずっと離れたところからでもよく見えた。修司もこの街で暮らしはじめて以来、ときおり視界に姿を認めてきた。あるときは駅前の三十階を超すビルの展望台から、またあるときは古城の跡の青葉が茂る山のうえから、遠くを眺めていた折のことだ。ニュータウンの街並みと山林の入り交じる景色に少しも溶け込むことなく、真っ白に屹立した存在が、違和感とともに目に飛び込んできたものだった。

 仙台に実在する高さ百メートルの大観音をモチーフとした小説です。毎週日曜、読書面(「東北の文芸」面)での連載となります。
 樋口佳絵さんご担当の挿絵にも、ぜひご注目いただけたらと思っています。
 下記のオンライン版でも、無料の会員登録で全文が読めます。

 〈大観音の傾き(1)〉傾いているのか、いないのか 山野辺太郎(河北新報オンライン)
 https://kahoku.news/articles/20240407khn000015.html

 今後、第2回以降も下記のバックナンバー一覧から読めます。

 【ニュース】大観音の傾き(河北新報オンライン)
 https://kahoku.news/tag/大観音の傾き

『河北新報』に連載開始のインタビュー記事が載りました

投稿日:

 『河北新報』4月3日付朝刊の文化面に、連載小説「大観音の傾き」開始にあたってのインタビュー記事が掲載されました。見出しは「孤独に屹立 自分と重なる」。ご執筆は同紙記者の菊地弘志さんです。
 山野辺の発言箇所の一部を引用にてご紹介します。「なぜ仙台大観音を取り上げたのでしょうか」という質問に答えた箇所です。

「市西部の新興住宅地に引っ越したのが高校に入った1991年春。その秋に大観音が完成し、そう遠くない距離に大観音の姿が見えました。山の中、ニュータウンの片隅に、巨大な白い像が屹立しているのです。強烈な異彩に戸惑いつつも目を離せませんでした」
「本来ありがたい存在なのでしょうが、違和感を伴って圧倒的な大きさで視界に入る大観音に、この世になじめないでいる寂しさも感じられ、高校時代の自分とどこか重なるようなところもありました。進学で仙台を離れた後も心に残っていたのです」

 連載は4月7日より毎週日曜、読書面の一角(「東北の文芸」面)に掲載されます。

 連載小説「大観音の傾き」4月7日開始 山野辺太郎さんが抱負(河北新報オンライン)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://kahoku.news/articles/20240403khn000014.html

『書評キャンパスat読書人 2022』にコメントを寄せました

投稿日:

 

 『書評キャンパスat読書人 2022』が2024年2月20日に発売となりました。
 「週刊読書人」掲載の学生による書評と、著者・訳者・編集者からのアンサーコメントを集めた一冊です。
 新荘直大さんによる『孤島の飛来人』の書評を受けて、著者コメントを寄稿しました。
 下記のBooksのページに、書店の購入ページ等へのリンクがあります。

 『書評キャンパスat読書人 2022』書誌データ(Books)
 https://www.books.or.jp/book-details/9784924671645

 書評本体は下記のサイトでも公開されています。

 【孤島の飛来人/山野辺太郎】評者:新荘直大(YOMKA)
 https://yomka.net/campus20230113/

混ざり合う恐さ

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 『文藝春秋』新年特大号(12月8日発売)に掲載の〈2023年「わたしのベスト3」〉にて、綿矢りささんが選んだ3冊のなかに『こんとんの居場所』がありました。
 「混ざり合う恐さ」と題された綿矢さんの文章の一部を引用にてご紹介します。

 それぞれの人たちが、生きてきた記憶が、ある出来事によって混ざり合う過程が、とても怖く面白い。同時収録の「白い霧」も人間が白い霧になって消える怪現象を軸に物語が展開され、ヘンテコだけど奇妙な魅力にあふれた作品だ。すべてフィクションの内容だと思うが、現代社会で人々の抱える、ぼんやりした不安がフィクションの形を借りて反映されている二作品のようにも感じる。

 混ざり合う恐さ 文藝春秋BOOK倶楽部特別編 2023年「わたしのベスト3」(文藝春秋)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h7397

『みやざきぽかぽかたんか』に寄稿しました

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 短歌誌『みやざきぽかぽかたんか』に短歌を寄稿しました。
 みやざきぽかぽか通信社・井口寿則さん発行の雑誌です。俵万智さんをはじめ、宮崎ゆかりのかたがたの短歌やエッセイが収められています。
 僕も去年、宮崎を訪れたご縁でお声がけいただきました。巻末特集「夏のうた」に、「恐竜の……」で始まる短歌を寄稿しています。

 2023年11月11日(土)開催の文学フリマ東京37や、11月26日(日)に宮崎で開催されたZine it!にて頒布されました。
 また、下記のサイトから通販でも購入できます。

 みやざきぽかぽかたんか(みやざきぽかぽか通信社)
 https://ugetsunasuharu.booth.pm/items/5246493

自我&身体の拡張と消滅

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 『東京新聞/中日新聞』8月5日付朝刊読書面に、『こんとんの居場所』の書評が掲載されました。評者は豊崎由美さんです。見出しは「自我&身体の拡張と消滅」。
 一部を引用にてご紹介します。

 穴を掘って日本とブラジルを直線で結ぶまでを描いた『いつか深い穴に落ちるまで』。二〇一八年、そんなトンデモ奇想小説で作家デビューしたのが山野辺太郎だ。
 最新作品集『こんとんの居場所』の表題作もかなりユニークな小説といっていい。(中略)二人がそこで何を体験するかは読んでのお楽しみだけれど、読めばわかるのは、これが自我&身体の拡張と他者との同化についての物語だということだ。
 一方、自我&身体の消滅と他者との同化について描かれているのが、併録の「白い霧」。(中略)
 「こんとん」とは何なのか。作中で〈生命の進化の極限状態〉と示される「蒸発」のメカニズムはどうなっているのか。作者は科学的見解を一切示さず、力技でこの二つの不可思議な物語を立ち上げている。でもハードSFじゃないのだから、それでいい。重要なのは一見バカバカしい物語の底の底に横たわっている自我や生命という命題に向ける哲学的な問いだ。笑いながら考えさせられる。山野辺太郎は本当に不思議な小説家だ。

 下記サイトで全文が公開されています。

 〈書評〉『こんとんの居場所』山野辺太郎 著(東京新聞)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/268045

『本の雑誌』で『こんとんの居場所』が紹介されました

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 『本の雑誌』8月号(7月12日発売)の「新刊めったくたガイド」のコーナーで、『こんとんの居場所』が紹介されました。ご執筆は松井ゆかりさんです。
 一部を引用にてご紹介します。

 たいへんなおかしみに満ちた作品であるのは間違いないことながら、どういった内容であるかを説明するのは非常に難しいのが、山野辺太郎『こんとんの居場所』(国書刊行会一九〇〇円)。まずは謎に満ちたブックデザインからご堪能いただきたい(帯の読みづらさ・タイトルその他の文字の小ささ含む)。
(中略)本書の魅力は要約をはみ出した部分にもあるといえよう。もの悲しくも晴れやか、無常観めいたものが根底にありつつ幸福感も漂うという、本来は同時に存在しないような性質のものが自然に融合した読み心地なのだ。とにかくお読みになって味わっていただきたいとしかいえない。
 併録の「白い霧」もまた素晴らしく、こちらはよりSF色(!)が感じられる作品。

 今月の本の雑誌 2023年8月 梅仕事待望号 No.482(本の雑誌社)
 http://www.webdoku.jp/honshi/2023/8-230703130515.html

【追記】
 下記のサイトで全文が公開されました。『こんとんの居場所』を含む4冊が紹介されています。

 新刊めったくたガイド(WEB本の雑誌)
 https://www.webdoku.jp/mettakuta/matsui_yukari/20230818080000.html

『クロワッサン』で『こんとんの居場所』が取り上げられました

投稿日:

 

 『クロワッサン』7月25日号(7月10日発売)の「本を読んで、会いたくなって。」のコーナーに、『こんとんの居場所』の紹介記事が掲載されました。文は鳥澤光さん、写真は石渡朋さんです。
 一部を引用にてご紹介します。

 これまでの作品で、日本からブラジルへ地球を貫く穴を掘り、風船を背に海上を飛び、ジュラ紀の森を恐竜の目で眺めては、奇妙であたたかい物語で読者を驚かせてきた山野辺太郎さん。『こんとんの居場所』という小説はどのように生まれたのだろう。
「作品の原型から数えると15年ほど前から少しずつ書き、育ててきた小説です。発端は『荘子』の〈渾沌七竅(しちきょう)に死す〉を読み、荘子の考えるスケールの広大さと自由さに惹かれたことでした。(中略)『荘子』が好きで何度も読んでいるのですが、短い寓話というか奇想天外な話が集められていて、荘子は僕にとってホラ話の大先輩でもあります」

 Croissant No. 1097(マガジンハウス)
 https://magazineworld.jp/croissant/croissant-1097/

【追記】
 下記のサイトで全文が公開されました。

 『こんとんの居場所』著者、山野辺太郎さんインタビュー。「死とは渾沌へ還ることなのかもしれない」(クロワッサンONLINE)
 https://croissant-online.jp/life/200389/

人間と人間でないもののあいだの小説

投稿日:

 ウェブサイト「hontoブックツリー」に5冊の本の紹介文を寄稿しました。
 『こんとんの居場所』の刊行を機にお声がけをいただき、「人間と人間でないもののあいだの小説」という題で書いてみました。
 取り上げたのは、以下の5冊です。

  • 『歌行燈・高野聖』(収録作「高野聖」、泉鏡花著)
  • 『冥途・旅順入城式』(収録作「件」、内田百閒著)
  • 『クチュクチュバーン』(吉村萬壱著)
  • 『木になった亜沙』(今村夏子著)
  • 『こんとんの居場所』(山野辺太郎著)

 下記のページに掲載されていますので、ご覧いただけますと幸いです。

 人間と人間でないもののあいだの小説(hontoブックツリー)
 https://honto.jp/booktree/detail_00017441.html




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