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小説などに関するお知らせブログ

自我&身体の拡張と消滅

投稿日:

 『東京新聞/中日新聞』8月5日付朝刊読書面に、『こんとんの居場所』の書評が掲載されました。評者は豊崎由美さんです。見出しは「自我&身体の拡張と消滅」。
 一部を引用にてご紹介します。

 穴を掘って日本とブラジルを直線で結ぶまでを描いた『いつか深い穴に落ちるまで』。二〇一八年、そんなトンデモ奇想小説で作家デビューしたのが山野辺太郎だ。
 最新作品集『こんとんの居場所』の表題作もかなりユニークな小説といっていい。(中略)二人がそこで何を体験するかは読んでのお楽しみだけれど、読めばわかるのは、これが自我&身体の拡張と他者との同化についての物語だということだ。
 一方、自我&身体の消滅と他者との同化について描かれているのが、併録の「白い霧」。(中略)
 「こんとん」とは何なのか。作中で〈生命の進化の極限状態〉と示される「蒸発」のメカニズムはどうなっているのか。作者は科学的見解を一切示さず、力技でこの二つの不可思議な物語を立ち上げている。でもハードSFじゃないのだから、それでいい。重要なのは一見バカバカしい物語の底の底に横たわっている自我や生命という命題に向ける哲学的な問いだ。笑いながら考えさせられる。山野辺太郎は本当に不思議な小説家だ。

 下記サイトで全文が公開されています。

 〈書評〉『こんとんの居場所』山野辺太郎 著(東京新聞)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/268045

『本の雑誌』で『こんとんの居場所』が紹介されました

投稿日:

 『本の雑誌』8月号(7月12日発売)の「新刊めったくたガイド」のコーナーで、『こんとんの居場所』が紹介されました。ご執筆は松井ゆかりさんです。
 一部を引用にてご紹介します。

 たいへんなおかしみに満ちた作品であるのは間違いないことながら、どういった内容であるかを説明するのは非常に難しいのが、山野辺太郎『こんとんの居場所』(国書刊行会一九〇〇円)。まずは謎に満ちたブックデザインからご堪能いただきたい(帯の読みづらさ・タイトルその他の文字の小ささ含む)。
(中略)本書の魅力は要約をはみ出した部分にもあるといえよう。もの悲しくも晴れやか、無常観めいたものが根底にありつつ幸福感も漂うという、本来は同時に存在しないような性質のものが自然に融合した読み心地なのだ。とにかくお読みになって味わっていただきたいとしかいえない。
 併録の「白い霧」もまた素晴らしく、こちらはよりSF色(!)が感じられる作品。

 今月の本の雑誌 2023年8月 梅仕事待望号 No.482(本の雑誌社)
 http://www.webdoku.jp/honshi/2023/8-230703130515.html

【追記】
 下記のサイトで全文が公開されました。『こんとんの居場所』を含む4冊が紹介されています。

 新刊めったくたガイド(WEB本の雑誌)
 https://www.webdoku.jp/mettakuta/matsui_yukari/20230818080000.html

『クロワッサン』で『こんとんの居場所』が取り上げられました

投稿日:

 

 『クロワッサン』7月25日号(7月10日発売)の「本を読んで、会いたくなって。」のコーナーに、『こんとんの居場所』の紹介記事が掲載されました。文は鳥澤光さん、写真は石渡朋さんです。
 一部を引用にてご紹介します。

 これまでの作品で、日本からブラジルへ地球を貫く穴を掘り、風船を背に海上を飛び、ジュラ紀の森を恐竜の目で眺めては、奇妙であたたかい物語で読者を驚かせてきた山野辺太郎さん。『こんとんの居場所』という小説はどのように生まれたのだろう。
「作品の原型から数えると15年ほど前から少しずつ書き、育ててきた小説です。発端は『荘子』の〈渾沌七竅(しちきょう)に死す〉を読み、荘子の考えるスケールの広大さと自由さに惹かれたことでした。(中略)『荘子』が好きで何度も読んでいるのですが、短い寓話というか奇想天外な話が集められていて、荘子は僕にとってホラ話の大先輩でもあります」

 Croissant No. 1097(マガジンハウス)
 https://magazineworld.jp/croissant/croissant-1097/

【追記】
 下記のサイトで全文が公開されました。

 『こんとんの居場所』著者、山野辺太郎さんインタビュー。「死とは渾沌へ還ることなのかもしれない」(クロワッサンONLINE)
 https://croissant-online.jp/life/200389/

人間と人間でないもののあいだの小説

投稿日:

 ウェブサイト「hontoブックツリー」に5冊の本の紹介文を寄稿しました。
 『こんとんの居場所』の刊行を機にお声がけをいただき、「人間と人間でないもののあいだの小説」という題で書いてみました。
 取り上げたのは、以下の5冊です。

  • 『歌行燈・高野聖』(収録作「高野聖」、泉鏡花著)
  • 『冥途・旅順入城式』(収録作「件」、内田百閒著)
  • 『クチュクチュバーン』(吉村萬壱著)
  • 『木になった亜沙』(今村夏子著)
  • 『こんとんの居場所』(山野辺太郎著)

 下記のページに掲載されていますので、ご覧いただけますと幸いです。

 人間と人間でないもののあいだの小説(hontoブックツリー)
 https://honto.jp/booktree/detail_00017441.html

ぬるぬるの島、ハマる人間

投稿日:

 『日経新聞』6月1日付夕刊文化面「目利きが選ぶ3冊」のコーナーに、『こんとんの居場所』の書評が掲載されました。評者は陣野俊史さんです。
 見出しは〈ぬるぬるの島、ハマる人間〉。一部を引用にてご紹介します。

 ぬるぬるする「こんとん」にハマっていく主人公たちの運命や如何に! 舞台装置の捉えどころのなさと、人間たちの対比が奇妙な味わいを残す佳品。

 ぬるぬるの島、ハマる人間 陣野俊史氏が選ぶ一冊(日本経済新聞)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD262W60W3A520C2000000/

『毎日新聞』で『こんとんの居場所』が取り上げられました

投稿日:

 『毎日新聞』5月31日付夕刊の文化面に、『こんとんの居場所』の紹介記事が掲載されました。ご執筆は同紙記者の関雄輔さんです。
 山野辺の発言箇所をいくつか引用にてご紹介します。

「人間のように物事を認識し、認識される存在にしようとした結果、渾沌は死んでしまう。えたいの知れない存在ですが、有限である生き物の可能性を解き放ってくれる気がして、そこから発想が広がっていきました」
(中略)
「生き物は死に宿命づけられていて、人間である以上、自分もそれを免れられない。そのことへの本能的な恐怖心からでしょうか。生死の境界を超越する存在への憧れがあります」
(中略)
「小説は言葉だけで表現する。手段が限られているようだけど、むしろここが一番広いのではないかと感じました」
(中略)
「勤め人としての生活と、そこに収まりきらない何か。その二つの要素を常に意識しています」

 Interview 山野辺太郎さん(作家) 「生死超えた存在に憧れ」 新刊刊行、山野辺ワールド凝縮(毎日新聞)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://mainichi.jp/articles/20230531/dde/014/040/003000c

『読売新聞』と『河北新報』に『こんとんの居場所』の記事が載りました

投稿日:

 

 5月7日、『こんとんの居場所』刊行記念トークイベントが「BOOK SPACEあらえみし」(仙台フォーラス3階)で開催されました。
 当日は新聞2社の取材があり、『読売新聞』5月8日朝刊の地域面(宮城版)と、『河北新報』5月18日朝刊の文化面に記事が載りました。後者は河北新報記者・菊地弘志さんの署名記事です。
 一部を引用にてご紹介します。

 新作の「こんとんの居場所」(国書刊行会)は、お仕事小説のようでありながら、謎の生命体が登場し、不思議さに富んだ独特の世界を構築。「(登場人物は)会社員の自分が重なり、仕事は(創作の)核になっているかも」とし、「昔から深刻な事柄や不安、恐れを、ほかの形に変えたり、引いた視点で見たりして書いている」と明かした。
(『読売新聞』5月8日朝刊)

 生から死への移行なのか、あるいは生死の境目のない存在に移ろうのかは判然としない。山野辺さんは「生の終焉、断絶と捉えるというより、大きな流れの中での一つの変化という見方もできるのではないか」と自作を解説する。
(中略)
「ベースに現実的なものがある。見方を変える何かが投げ込まれることで違う世界に行くけれど、現実をもう1回捉え直す機会にもなる」
(中略)
 文学に傾倒した高校時代は太宰治に親しんだ。「深刻な状況だからこそ、視点を変えることで笑いが生まれる。笑いを大事にしたい」。少し引いたところに立つと悲劇だったものが喜劇に映るという。
(『河北新報』5月18日朝刊)

 河北新報の記事はウェブでも公開されています(会員記事)。

 仙台出身の作家 山野辺太郎さん 新刊「こんとんの居場所」 死生観 不思議な世界で(河北新報)
 https://kahoku.news/articles/20230518khn000015.html

『こんとんの居場所』刊行記念トークイベント

投稿日:

 『こんとんの居場所』(国書刊行会)の刊行を記念して、トークイベントを開催することになりました。

 『こんとんの居場所』刊行記念 山野辺太郎トークイベント
 聞き手:荒蝦夷・土方正志さん
 2023年5月7日(日)13:00〜
 仙台フォーラス3階・BOOK SPACE あらえみし

 聞き手を務めてくださる土方正志さんは、仙台の出版社・荒蝦夷の代表であり、編集者としても文筆家としてもご活躍されています。河北新報に「仙台発出版こぼれ話」を連載中です。
 『こんとんの居場所』をめぐるあれこれ、これまで書いてきた小説やこれからのこと、育った土地である仙台との縁についてなど、お話しすることになるのではないかと思っています。

 入場無料で先着20名様、お申し込みのうえご参加いただけます。ご来場をお待ちしております。

 お申し込みはこちらから(荒蝦夷)
 https://forms.gle/ckUhM34daKDrDztV8

 BOOK SPACE あらえみし(仙台フォーラス)
 https://www.forus.co.jp/sendai/shop/5981

『こんとんの居場所』冒頭朗読の動画をYouTubeで公開

投稿日:

 デビュー以来3冊目の単行本『こんとんの居場所』(国書刊行会)の刊行を記念して、冒頭朗読の動画をYouTube「山野辺太郎チャンネル」にて公開しました。

 「渾沌島取材記者/経験不問要覚悟/長期可薄給裸有」

 山野辺太郎「こんとんの居場所」作者による冒頭朗読(YouTube)
 https://youtube.com/watch?v=_LIl3bQMAzs

 下記のサイトにて、他の発表作の冒頭朗読も公開中です。

 山野辺太郎チャンネル(YouTube)
 https://youtube.com/c/yamanobe_taro

『こんとんの居場所』発売しました!

投稿日:

 新刊『こんとんの居場所』が国書刊行会より発売となりました。

 謎の生命体「こんとん」の取材記者として調査船に乗り込んだ男女。たどり着いた島=こんとんの上で、二人が見たものとは……。(「こんとんの居場所」)

 防衛省のシステムに侵入した天才少年ハッカーが開いたのは、人類を“次の段階”に進める禁断の扉だった。人々が次々と人間の姿を失っていく中、ある親子が再会する。(「白い霧」)

 それは滅びか、救済か――。
 文藝賞受賞作『いつか深い穴に落ちるまで』(2018)、『孤島の飛来人』(2022)に続く、現代文学の異才による最新作品集!
(hanmoto.comの紹介文より)

 赤坂真理さんとラランド・ニシダさんより、推薦の言葉を寄せていただきました。本の帯に記載された言葉を引用にてご紹介します。

 退屈な日常から、非日常にグラデーションで少しずつ染まっていく感覚。読書の喜びの根源に触れた気がする。
ニシダ(ラランド)

 するする運ばれていくうちに思いがけないところにいて、たとえそれが破滅かもしれなくても、笑えてしまう。ああ、言葉にだけ可能な、こんな旅があるのだ。
赤坂真理(作家)

 装丁は森敬太さん、装画はnico itoさんがご担当され、魅惑的な表紙カバーとなりました。表紙と裏表紙で絵柄が微妙に異なっています。本を手に取り、帯をそっと外して、じっくりと眺めていただけましたらと思います。

 表題作「こんとんの居場所」に「白い霧」を加えた中篇二作の作品集。どちらも広い意味での変身譚となっています。
 お読みいただけましたら幸いです。

 発売に合わせて、『こんとんの居場所』のPOPを作ってみました。
 右側は本文に出てくる三行広告からの引用です。ここから主人公の旅路が始まります。
 書店での本のPR用などに、画像をダウンロードしてご自由にお使いください。
 印刷して枠線で折りたたむと、はがきサイズになります。

 『こんとんの居場所』POP(JPEGデータ)
 https://yamanobe-taro.jp/img/conton-pop-230418.jpg

 出版社の『こんとんの居場所』紹介ページ(国書刊行会)
 https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336074720/

 『こんとんの居場所』書誌データ(版元ドットコム)
 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784336074720

 『こんとんの居場所』を書店サイトで探す
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yamanobe-taro.jp