『毎日新聞』2024年12月28日付朝刊読書面の「話題の本」コーナーで、『大観音の傾き』が取り上げられました。ご執筆は武田砂鉄さんです。
一部を引用にてご紹介します。
傾いているはずがないだろう。じっくり見る。傾いているような気もしてくる。このまま倒れてしまうのか。爆破するのはどうかとの案まで出る。そもそも、あの震災を経て、今、大観音の気持ちはいかなるものなのか。
(中略)大観音に感じる悲哀はどこから来るのだろう。読み進めるうちに大観音と一体化し始める自分に気づく。簡素に説明し難い小説だが、体の深部に潜り込んでくる。
今週の本棚・話題の本『大観音の傾き』=武田砂鉄(毎日新聞)
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【追記】
下記のサイトで全文が公開されました。
『大観音の傾き』(中央公論新社) – 著者:山野辺 太郎 – 武田 砂鉄による書評(ALL REVIEWS)
『河北新報』12月10日付朝刊の文化面に、『大観音の傾き』単行本刊行をめぐる著者インタビュー記事が掲載されました。ご執筆は同紙記者の菊地弘志さんです。
山野辺の発言箇所の一部を引用にてご紹介します。小説のモチーフとなった仙台大観音と、舞台の一つである「花咲ヶ丘」についてお話しした箇所です。
「大観音は東日本大震災の災厄を目の当たりにし、重い記憶を背負ったのと同時に、身じろぎもせず、なすすべもなく、という何もできない後ろめたさを抱えていたはず。小説として内なる声を伝えられたのであればよかった」
(中略)
「バブル期に開発されて荒れ放題となったいわゆる『限界ニュータウン』は、今の日本各地にあり得る場所の象徴ではないか。修司は今の自分を変えたい気持ちもあり、居場所を見つけたのだろう。そこに『帰る』というより『還る』という巡っていく感じで、その場所からも見える大観音の導きがあってたどり着いた気がしている」
内なる声 伝えられたら 作家・山野辺太郎さんに聞く 河北新報連載小説「大観音の傾き」単行本刊行(河北新報オンライン)
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記事では、12月21日(土)14時より仙台・河北新報社のホールで開催されるトークイベントも紹介されています。イベントの詳細とお申し込みは下記サイトにて。
お申し込みはこちらから(荒蝦夷)
「大観音の傾き」と「こんとんの居場所」が、『河北新報』で取り上げられました。
「大観音の傾き」のほうは、10月16日付朝刊「紙面スキャナー」にて言及されています。ご執筆は小地沢将之さんです。一部を引用にてご紹介します。
読書面の小説「大観音の傾き」が9月いっぱいで終了し、10月2日の文化面には著者の山野辺太郎さんによる寄稿が掲載された。物語の中でも重要な存在である仙台大観音を「あのおかた」と呼んでしまうあたりに、山野辺さんの人柄が浮かび上がる。
「こんとんの居場所」のほうは、10月22日付朝刊の記事にて、幻想小説の魅力を語り合うイベントについて報じるなかで言及されています。記事によると、イベントは同月19日、仙台のイービーンズにて開催。黒木あるじさん、植松靖夫さん、東雅夫さんが参加されたとのことです。こちらも一部を引用にてご紹介します。
黒木さんは、仙台市出身の作家山野辺太郎さんの小説「こんとんの居場所」を推薦。「不思議な手触りがあり、先が見えない。幻想文学好きの人に読んでほしい」と語った。
両記事は、オンライン版にも掲載されています。
[紙面センサー]災害の経験、広く伝えて/小地沢将之(宮城大事業構想学群准教授)(河北新報オンライン)
山形の作家・黒木あるじさんら 幻想文学の魅力伝える 仙台でトークイベント、お薦め作品紹介も(河北新報オンライン)
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『éclat[エクラ]』9月号(8月1日発売)に、『恐竜時代が終わらない』の書評が載りました。評者は斎藤美奈子さんです。
一部を引用にてご紹介します。
単なる寓話というなかれ。別々の文化を生きるふたり(2頭)は人間社会を先取りした存在ともいえるのだ。(中略)
山野辺太郎のデビュー作は、壮大な地理的スケールで読む人を呆然とさせる作品だった。そして今度は気が遠くなりそうな時間を一瞬で跳び越える。ありえない事実を見てきたように語る話術は一級品。ぜひ騙されていただきたい。
éclat[エクラ] 2024年9月号(Web éclat、集英社)
【追記】
下記のサイトで全文が公開されました。『恐竜時代が終わらない』に加えて、「あわせて読みたい!」として『いつか深い穴に落ちるまで』も取り上げていただいています。
文芸評論家・斎藤美奈子さんおすすめ!今読みたい話題の本3選 (Web éclat)
『母の友』9月号(8月2日発売)に、『恐竜時代が終わらない』の書評が載りました。評者は磯上竜也さんです。
一部を引用にてご紹介します。
けれどはじめは壮大なホラ話か寓話のようだった恐竜たちの記憶も、自身の思い出とともに交互に語られ、本当のこととして丹念に積み重ねられるうちに、次第に確かな手触りをもって積層され、語りの積層が厚くなればなるほど、物語は真実味をもって響きはじめる。そうして最後の風景が語られたとき、あなたの心にもきっと恐竜たちが息づいている。
母の友 2024年9月号(福音館書店)
『クロワッサン』7月25日号(7月10日発売)の「本を読んで、会いたくなって。」のコーナーに、『恐竜時代が終わらない』の著者インタビュー記事が掲載されました。文は鳥澤光さん、写真は石渡朋さんです。
一部を引用にてご紹介します。
中生代から現在まで、いくつもの時間の断片が重ねられ、小説の言葉によって地球史が貫かれ不意につながる『恐竜時代が終わらない』。遠く時を隔てて存在した恐竜という存在に、「同じ地球に生きたもの」として幼い頃から親近感を抱いてきたという山野辺太郎さん。小説を書くにあたって最初にやってきたのは、種の違う恐竜同士が思いを通わせるイメージだったという。
「そこから、エミリオとガビノという男の子たちを結びつける感情や、マレナとフリオという2匹の恋のゆらめきが浮かんできました。それを語る恐竜と、さらにそれを先へと語り継ぐ人間もやってきて、マトリョーシカのような構造を持つ小説になっていったんです」
Croissant No. 1121(マガジンハウス)
【追記】
下記のサイトで全文が公開されました。
『恐竜時代が終わらない』著者、山野辺太郎さんインタビュー。「太古から伝わる恐竜時代の物語です」(クロワッサンONLINE)
『東京新聞』2024年6月26日夕刊の文芸時評で、「最後のドッジボール」が取り上げられました。評者は伊藤氏貴さんです。
一部を引用にてご紹介します。
山野辺太郎の新刊『恐竜時代が終わらない』(書肆侃侃房)の巻末の書き下ろし短編「最後のドッジボール」の父と息子の関係がなんとも心温まる。もし自分に息子がいればぜひとも読ませたものを。
こちらの記事は『北海道新聞』にも掲載され、下記のサイトにアップされています。
<文芸時評>現在の文学の「家族」 「解体」から「共生」へ 新たな姿も 伊藤氏貴(北海道新聞)
(ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
『北國新聞』6月16日付朝刊、『週刊新潮』6月27日号〔20日発売〕、『週刊読書人』6月21日号、『産経新聞』6月23日付朝刊にて、『恐竜時代が終わらない』の書評が載りました。
一部を引用にてご紹介します。
記憶され語られるあいだ、死者は生者の心の中で生き続ける。そのことを思い起こさせる1冊である。
(『北國新聞』杉山欣也さん評)
誰かに語られる話は小さな歯車に過ぎない。しかし、それに噛み合った者たちの生き方を変え、だから死に方も変えてしまう。誰かの口が回る限り、力は消えない。
(『週刊新潮』乗代雄介さん評)
本書を読むと、この「食う」ということが、相手を取り込み一体となって共に延命する愛の行為に見えてくる。
(『週刊読書人』九螺ささらさん評)
恐竜たちの繊細な感情の揺らぎも、実際に見たかのように話す。ありえないのだが、物悲しくもおかしみがある語り口に引き込まれ、読んでいるうちに不思議な真実味も感じられてくるのだ。
(『産経新聞』石井千湖さん評)
『産経新聞』の書評は、下記ページにて全文が公開されています。
記憶を巡る奇想小説 『恐竜時代が終わらない』山野辺太郎著(産経新聞)
【追記】
『週刊新潮』の書評も、下記ページにて全文が公開されました。
さえない中年男性が語る、草食恐竜と肉食恐竜の間に芽生えた切ない友情(Book Bang)
『毎日新聞』6月17日付夕刊の文化面に、『恐竜時代が終わらない』の著者インタビュー記事が掲載されました。ご執筆は同紙記者の関雄輔さんです。
一部を引用にてご紹介します。
「思い出すこと」と「想像する」こと。その二つの行為は、実は表裏一体なのかもしれない。作家の山野辺太郎さんは、新刊『恐竜時代が終わらない』(書肆侃侃房)に収めた2編の小説を書きながら、そんなことを考えたという。
(中略)
山野辺さんは、記憶を「過去に固定されているものではなく、思い出す現在において生成されるもの」と捉える。(中略)
「人間と同じように、記憶も絶えず変化していく。“記憶という生き物”を扱った小説と言えるかもしれません」
(中略)
父との思い出を書き残すにあたり、小説の形をとったことについて、「他人の記憶なら、『その人はこう言った』とドキュメンタリー風に書くこともできますが、自分自身の記憶を扱おうとすると、どうしてもその不確かさに向き合うことになる」と説明する。「そもそも記憶って、想像力の働きを借りなければ取り出せないと思うんです」
Interview 山野辺太郎さん(作家) 「記憶」は変化する生き物 新刊『恐竜時代が終わらない』(毎日新聞)
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