山野辺太郎のウェブサイト


報道・論評

山野辺太郎の小説などへの報道・論評

『北國新聞』『週刊新潮』『週刊読書人』『産経新聞』に『恐竜時代が終わらない』の書評が載りました

投稿日:

  

 『北國新聞』6月16日付朝刊、『週刊新潮』6月27日号〔20日発売〕、『週刊読書人』6月21日号、『産経新聞』6月23日付朝刊にて、『恐竜時代が終わらない』の書評が載りました。
 一部を引用にてご紹介します。

 記憶され語られるあいだ、死者は生者の心の中で生き続ける。そのことを思い起こさせる1冊である。
(『北國新聞』杉山欣也さん評)

 誰かに語られる話は小さな歯車に過ぎない。しかし、それに噛み合った者たちの生き方を変え、だから死に方も変えてしまう。誰かの口が回る限り、力は消えない。
(『週刊新潮』乗代雄介さん評)

 本書を読むと、この「食う」ということが、相手を取り込み一体となって共に延命する愛の行為に見えてくる。
(『週刊読書人』九螺ささらさん評)

 恐竜たちの繊細な感情の揺らぎも、実際に見たかのように話す。ありえないのだが、物悲しくもおかしみがある語り口に引き込まれ、読んでいるうちに不思議な真実味も感じられてくるのだ。
(『産経新聞』石井千湖さん評)

 『産経新聞』の書評は、下記ページにて全文が公開されています。

 記憶を巡る奇想小説 『恐竜時代が終わらない』山野辺太郎著(産経新聞)
 https://www.sankei.com/article/20240623-VMAP4NBUCRPYXMDU2EYZZEZQC4/

【追記】
 『週刊新潮』の書評も、下記ページにて全文が公開されました。

 さえない中年男性が語る、草食恐竜と肉食恐竜の間に芽生えた切ない友情(Book Bang)
 https://www.bookbang.jp/review/article/780108

『毎日新聞』で『恐竜時代が終わらない』が取り上げられました

投稿日:

 『毎日新聞』6月17日付夕刊の文化面に、『恐竜時代が終わらない』の著者インタビュー記事が掲載されました。ご執筆は同紙記者の関雄輔さんです。
 一部を引用にてご紹介します。

「思い出すこと」と「想像する」こと。その二つの行為は、実は表裏一体なのかもしれない。作家の山野辺太郎さんは、新刊『恐竜時代が終わらない』(書肆侃侃房)に収めた2編の小説を書きながら、そんなことを考えたという。
(中略)
 山野辺さんは、記憶を「過去に固定されているものではなく、思い出す現在において生成されるもの」と捉える。(中略)
「人間と同じように、記憶も絶えず変化していく。“記憶という生き物”を扱った小説と言えるかもしれません」
(中略)
 父との思い出を書き残すにあたり、小説の形をとったことについて、「他人の記憶なら、『その人はこう言った』とドキュメンタリー風に書くこともできますが、自分自身の記憶を扱おうとすると、どうしてもその不確かさに向き合うことになる」と説明する。「そもそも記憶って、想像力の働きを借りなければ取り出せないと思うんです」

 Interview 山野辺太郎さん(作家) 「記憶」は変化する生き物 新刊『恐竜時代が終わらない』(毎日新聞)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://mainichi.jp/articles/20240617/dde/014/040/001000c

『河北新報』に『恐竜時代が終わらない』紹介記事と、連載小説「大観音の傾き」掲載

投稿日:

 『河北新報』6月16日付朝刊の読書面に、『恐竜時代が終わらない』の著者インタビュー記事が掲載されました。ご執筆は同紙記者の菊地弘志さんです。
 一部を引用にてご紹介します。

「命の循環の中に生があると考えれば、誰もが逃れられない死をどう捉えるのかも問われる」
(中略)
「一つの点だけで人間を捉えるのではなく、受け継いだものを次の世代に手渡す営みを描きたかった」
(中略)
 職業を転々とし、将来の展望も開けない謙吾の現実の人生は報われていないようにも映る。自分を突き放すような謙吾のペーソスあふれる語り口には、痛みそのものよりも痛みを抱える人間の滑稽味が浮かぶ。
「語るに値しなかったはずのものを人前で語ることで自分の生に意味が見いだされ、本人は救われているのかもしれない」
 創作に対する姿勢を「自分の中で子どものような発想を呼び覚ますところがある」と分析。科学的につじつまが合わない方がむしろ面白いという。「その分世界を広く眺められる。壮大な『ほら話』のどこかに真実を見いだしてもらえたらうれしい」

 インタビュー記事のとなりのページには、連載中の小説「大観音の傾き」第11回が載りました。オンライン版でも、無料の会員登録で全文が読めます。

 〈大観音の傾き(11)〉わたしたちは見つめ合っていた 山野辺太郎(河北新報オンライン)
 https://kahoku.news/articles/20240615khn000020.html

 ほかの回も、下記のバックナンバー一覧から読めます。

 【ニュース】大観音の傾き(河北新報オンライン)
 https://kahoku.news/tag/大観音の傾き

『Kappo 仙台闊歩』で『恐竜時代が終わらない』が取り上げられました

投稿日:

 

 『Kappo 仙台闊歩』7月号(6月5日発売)に、『恐竜時代が終わらない』の著者インタビュー記事が掲載されました。ご執筆は荒蝦夷・土方正志さんです。
 一部を引用にてご紹介します。

 突拍子もない設定ながら、どこかとぼけた味わいの岡島のひとり語りを読み進めれば、親子とは、記憶とは、継承とは、あるいは生と死とは生命の循環とは……などなどさまざまな想念が読む者の脳裡に浮かんでやまない。
「前の世代からなにかを受け継いで次の世代に引き渡していく繋がりのなかに人間はあると考えると、切り離された孤独な存在ではない。年齢と共にそんな繋がりを意識するようになりました。孤独の苦しみから抜け出す道筋がそこにあるのかな、と。そんな思いを小説にするならなるべく大きなスケールにしたほうがおもしろいじゃないですか。親子関係を超えて、恐竜時代から続いている生命を感じてみたらどうなるか。まあ、ほら話です(笑)」

 Kappo 仙台闊歩 Vol.130 2024年7月号(プレスアート)
 https://kappo.machico.mu/books/9582

「河北抄」で「大観音の傾き」が取り上げられました

投稿日:

 『河北新報』6月4日付夕刊1面のコラム「河北抄」にて、「大観音の傾き」が取り上げられました。仙台大観音の造立以来の歩みや、生みの親である菅原萬氏の思いとともに紹介されています。
 一部を引用にてご紹介します。

 本紙日曜朝刊に連載中の小説『大観音の傾き』は、仙台市泉区の仙台大観音がモチーフ。仙台出身で東京在住の作家山野辺太郎さん(48)が、市職員や住⺠を巻き込んだ騒動を軽妙に描き出す。
 大観音はバブル経済が終幕を迎える1991年に完成した。(中略)
 丘陵地に出現した高さ100メートルの巨像は唐突な印象を与え、地元の反応は必ずしも歓迎ばかりでなかった。(中略)
 外国人観光客の人気を集めるなど徐々に認知度も高まり、三十数年がたって大観音の胸中にも迫る小説がお目見えした。内なる声をしかと聞きたい。

 河北抄(6/4):本紙日曜朝刊に連載中の小説『大観音の傾き…(河北新報オンライン)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://kahoku.news/articles/20240604khn000020.html

『週刊文春』に『恐竜時代が終わらない』の書評が載りました

投稿日:

 

 『週刊文春』5月30日号(5月23日発売)の「文春図書館 今週の必読」コーナーに、『恐竜時代が終わらない』の書評が載りました。評者は左沢森さんです。
 一部を引用にてご紹介します。

《恐竜時代の出来事のお話をぜひ聞かせていただきたい》。世界オーラルヒストリー学会の蓮田由理子なる人物から、奇妙な依頼を受けた岡島謙吾。恐竜時代の出来事というのは、かつて謙吾の父が夜な夜な語り聞かせてくれたジュラ紀のストーリーだ。父もまたその父から聞き繋いだという太古から伝わる物語の噂は、なぜか遠く九州までも届いているそう。謙吾は都内の学会でわずかな聴衆に向けて語り始める。ブラキオサウルスのエミリオ、アロサウルスのガビノらが登場する魅力的な恋物語は、謙吾自身が「絶えず修繕を重ね」たと言うように、語り手の個人史をどこか反映しているように見える。
 最後にどんな結末が待っていようと、こうして恐竜時代の記憶は終わらずに、引き継がれていくことになる。恐竜が恐竜を食べるように、血や肉になり栄養分となって種族を超えていく。(中略)
 冒頭の時点には戻らずに、どこか投げっぱなしに終わっていくラストがいい。山野辺太郎の語りは物語的円環の中に閉じることなく、誰かに語り直されることを待っているようだ。

 「文春オンライン」の下記ページにて全文をお読みいただけます。

 父が夜な夜な語り聞かせてくれた「魅力的な恋物語」そこに現れた“ごく個人的な記憶”とは…/左沢森が『恐竜時代が終わらない』(山野辺太郎 著)を読む〔文春オンライン〕
 https://bunshun.jp/articles/-/70993

『河北新報』に連載開始のインタビュー記事が載りました

投稿日:

 『河北新報』4月3日付朝刊の文化面に、連載小説「大観音の傾き」開始にあたってのインタビュー記事が掲載されました。見出しは「孤独に屹立 自分と重なる」。ご執筆は同紙記者の菊地弘志さんです。
 山野辺の発言箇所の一部を引用にてご紹介します。「なぜ仙台大観音を取り上げたのでしょうか」という質問に答えた箇所です。

「市西部の新興住宅地に引っ越したのが高校に入った1991年春。その秋に大観音が完成し、そう遠くない距離に大観音の姿が見えました。山の中、ニュータウンの片隅に、巨大な白い像が屹立しているのです。強烈な異彩に戸惑いつつも目を離せませんでした」
「本来ありがたい存在なのでしょうが、違和感を伴って圧倒的な大きさで視界に入る大観音に、この世になじめないでいる寂しさも感じられ、高校時代の自分とどこか重なるようなところもありました。進学で仙台を離れた後も心に残っていたのです」

 連載は4月7日より毎週日曜、読書面の一角(「東北の文芸」面)に掲載されます。

 連載小説「大観音の傾き」4月7日開始 山野辺太郎さんが抱負(河北新報オンライン)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://kahoku.news/articles/20240403khn000014.html

混ざり合う恐さ

投稿日:

 

 『文藝春秋』新年特大号(12月8日発売)に掲載の〈2023年「わたしのベスト3」〉にて、綿矢りささんが選んだ3冊のなかに『こんとんの居場所』がありました。
 「混ざり合う恐さ」と題された綿矢さんの文章の一部を引用にてご紹介します。

 それぞれの人たちが、生きてきた記憶が、ある出来事によって混ざり合う過程が、とても怖く面白い。同時収録の「白い霧」も人間が白い霧になって消える怪現象を軸に物語が展開され、ヘンテコだけど奇妙な魅力にあふれた作品だ。すべてフィクションの内容だと思うが、現代社会で人々の抱える、ぼんやりした不安がフィクションの形を借りて反映されている二作品のようにも感じる。

 混ざり合う恐さ 文藝春秋BOOK倶楽部特別編 2023年「わたしのベスト3」(文藝春秋)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h7397

自我&身体の拡張と消滅

投稿日:

 『東京新聞/中日新聞』8月5日付朝刊読書面に、『こんとんの居場所』の書評が掲載されました。評者は豊崎由美さんです。見出しは「自我&身体の拡張と消滅」。
 一部を引用にてご紹介します。

 穴を掘って日本とブラジルを直線で結ぶまでを描いた『いつか深い穴に落ちるまで』。二〇一八年、そんなトンデモ奇想小説で作家デビューしたのが山野辺太郎だ。
 最新作品集『こんとんの居場所』の表題作もかなりユニークな小説といっていい。(中略)二人がそこで何を体験するかは読んでのお楽しみだけれど、読めばわかるのは、これが自我&身体の拡張と他者との同化についての物語だということだ。
 一方、自我&身体の消滅と他者との同化について描かれているのが、併録の「白い霧」。(中略)
 「こんとん」とは何なのか。作中で〈生命の進化の極限状態〉と示される「蒸発」のメカニズムはどうなっているのか。作者は科学的見解を一切示さず、力技でこの二つの不可思議な物語を立ち上げている。でもハードSFじゃないのだから、それでいい。重要なのは一見バカバカしい物語の底の底に横たわっている自我や生命という命題に向ける哲学的な問いだ。笑いながら考えさせられる。山野辺太郎は本当に不思議な小説家だ。

 下記サイトで全文が公開されています。

 〈書評〉『こんとんの居場所』山野辺太郎 著(東京新聞)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/268045

『本の雑誌』で『こんとんの居場所』が紹介されました

投稿日:

 『本の雑誌』8月号(7月12日発売)の「新刊めったくたガイド」のコーナーで、『こんとんの居場所』が紹介されました。ご執筆は松井ゆかりさんです。
 一部を引用にてご紹介します。

 たいへんなおかしみに満ちた作品であるのは間違いないことながら、どういった内容であるかを説明するのは非常に難しいのが、山野辺太郎『こんとんの居場所』(国書刊行会一九〇〇円)。まずは謎に満ちたブックデザインからご堪能いただきたい(帯の読みづらさ・タイトルその他の文字の小ささ含む)。
(中略)本書の魅力は要約をはみ出した部分にもあるといえよう。もの悲しくも晴れやか、無常観めいたものが根底にありつつ幸福感も漂うという、本来は同時に存在しないような性質のものが自然に融合した読み心地なのだ。とにかくお読みになって味わっていただきたいとしかいえない。
 併録の「白い霧」もまた素晴らしく、こちらはよりSF色(!)が感じられる作品。

 今月の本の雑誌 2023年8月 梅仕事待望号 No.482(本の雑誌社)
 http://www.webdoku.jp/honshi/2023/8-230703130515.html

【追記】
 下記のサイトで全文が公開されました。『こんとんの居場所』を含む4冊が紹介されています。

 新刊めったくたガイド(WEB本の雑誌)
 https://www.webdoku.jp/mettakuta/matsui_yukari/20230818080000.html

『クロワッサン』で『こんとんの居場所』が取り上げられました

投稿日:

 

 『クロワッサン』7月25日号(7月10日発売)の「本を読んで、会いたくなって。」のコーナーに、『こんとんの居場所』の紹介記事が掲載されました。文は鳥澤光さん、写真は石渡朋さんです。
 一部を引用にてご紹介します。

 これまでの作品で、日本からブラジルへ地球を貫く穴を掘り、風船を背に海上を飛び、ジュラ紀の森を恐竜の目で眺めては、奇妙であたたかい物語で読者を驚かせてきた山野辺太郎さん。『こんとんの居場所』という小説はどのように生まれたのだろう。
「作品の原型から数えると15年ほど前から少しずつ書き、育ててきた小説です。発端は『荘子』の〈渾沌七竅(しちきょう)に死す〉を読み、荘子の考えるスケールの広大さと自由さに惹かれたことでした。(中略)『荘子』が好きで何度も読んでいるのですが、短い寓話というか奇想天外な話が集められていて、荘子は僕にとってホラ話の大先輩でもあります」

 Croissant No. 1097(マガジンハウス)
 https://magazineworld.jp/croissant/croissant-1097/

【追記】
 下記のサイトで全文が公開されました。

 『こんとんの居場所』著者、山野辺太郎さんインタビュー。「死とは渾沌へ還ることなのかもしれない」(クロワッサンONLINE)
 https://croissant-online.jp/life/200389/

ぬるぬるの島、ハマる人間

投稿日:

 『日経新聞』6月1日付夕刊文化面「目利きが選ぶ3冊」のコーナーに、『こんとんの居場所』の書評が掲載されました。評者は陣野俊史さんです。
 見出しは〈ぬるぬるの島、ハマる人間〉。一部を引用にてご紹介します。

 ぬるぬるする「こんとん」にハマっていく主人公たちの運命や如何に! 舞台装置の捉えどころのなさと、人間たちの対比が奇妙な味わいを残す佳品。

 ぬるぬるの島、ハマる人間 陣野俊史氏が選ぶ一冊(日本経済新聞)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD262W60W3A520C2000000/

『毎日新聞』で『こんとんの居場所』が取り上げられました

投稿日:

 『毎日新聞』5月31日付夕刊の文化面に、『こんとんの居場所』の紹介記事が掲載されました。ご執筆は同紙記者の関雄輔さんです。
 山野辺の発言箇所をいくつか引用にてご紹介します。

「人間のように物事を認識し、認識される存在にしようとした結果、渾沌は死んでしまう。えたいの知れない存在ですが、有限である生き物の可能性を解き放ってくれる気がして、そこから発想が広がっていきました」
(中略)
「生き物は死に宿命づけられていて、人間である以上、自分もそれを免れられない。そのことへの本能的な恐怖心からでしょうか。生死の境界を超越する存在への憧れがあります」
(中略)
「小説は言葉だけで表現する。手段が限られているようだけど、むしろここが一番広いのではないかと感じました」
(中略)
「勤め人としての生活と、そこに収まりきらない何か。その二つの要素を常に意識しています」

 Interview 山野辺太郎さん(作家) 「生死超えた存在に憧れ」 新刊刊行、山野辺ワールド凝縮(毎日新聞)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://mainichi.jp/articles/20230531/dde/014/040/003000c

『読売新聞』と『河北新報』に『こんとんの居場所』の記事が載りました

投稿日:

 

 5月7日、『こんとんの居場所』刊行記念トークイベントが「BOOK SPACEあらえみし」(仙台フォーラス3階)で開催されました。
 当日は新聞2社の取材があり、『読売新聞』5月8日朝刊の地域面(宮城版)と、『河北新報』5月18日朝刊の文化面に記事が載りました。後者は河北新報記者・菊地弘志さんの署名記事です。
 一部を引用にてご紹介します。

 新作の「こんとんの居場所」(国書刊行会)は、お仕事小説のようでありながら、謎の生命体が登場し、不思議さに富んだ独特の世界を構築。「(登場人物は)会社員の自分が重なり、仕事は(創作の)核になっているかも」とし、「昔から深刻な事柄や不安、恐れを、ほかの形に変えたり、引いた視点で見たりして書いている」と明かした。
(『読売新聞』5月8日朝刊)

 生から死への移行なのか、あるいは生死の境目のない存在に移ろうのかは判然としない。山野辺さんは「生の終焉、断絶と捉えるというより、大きな流れの中での一つの変化という見方もできるのではないか」と自作を解説する。
(中略)
「ベースに現実的なものがある。見方を変える何かが投げ込まれることで違う世界に行くけれど、現実をもう1回捉え直す機会にもなる」
(中略)
 文学に傾倒した高校時代は太宰治に親しんだ。「深刻な状況だからこそ、視点を変えることで笑いが生まれる。笑いを大事にしたい」。少し引いたところに立つと悲劇だったものが喜劇に映るという。
(『河北新報』5月18日朝刊)

 河北新報の記事はウェブでも公開されています(会員記事)。

 仙台出身の作家 山野辺太郎さん 新刊「こんとんの居場所」 死生観 不思議な世界で(河北新報)
 https://kahoku.news/articles/20230518khn000015.html

『村田喜代子の本よみ講座』で『いつか深い穴に落ちるまで』が取り上げられました

投稿日:

 『村田喜代子の本よみ講座』(中央公論新社、2023年3月刊)にて、『いつか深い穴に落ちるまで』が取り上げられました。
 一部を引用にてご紹介します。

 敗戦で落としそびれた部下と上司の命の生かしどころが、じつは底のない穴掘削事業に向かわせる。虚と実とを巧みに綯い交ぜた文章で、あり得ないホラ話に乗せられていきます。

 本書ではほかに、クリスタ・ヴォルフ『チェルノブイリ原発事故』、内田百閒「坂の夢」、稲垣足穂「ファルマン」、ガルシア=マルケス「大きな翼を持った老人」などが取り上げられています。

 『村田喜代子の本よみ講座』書誌データ(版元ドットコム)
 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784120056369

『週刊読書人』書評キャンパス欄の『孤島の飛来人』評

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 『週刊読書人』1月13日号の書評キャンパス欄にて、『孤島の飛来人』が取り上げられました。同欄は、学生がおすすめの本を書評するコーナー。評者は東大大学院の新荘直大さんです。
 一部を引用にてご紹介します。

 本書がとりわけ興味深いのは、「書く」ことへの鋭い意識と、その相互性である。(中略)忘却に抗うように、伝え、書き残そうとする「僕」の業務日誌は、本書『孤島の飛来人』そのものと重なりあうかのようである。そのことによって、読者さえも相互性の一部となり、歴史の内部と外部のあわいで、慎ましく生きながらも、忘れ去られることに抵抗する彼らの証人のひとりとなるだろう。本書を読み、語ることは、彼らの生を引き継いでいく相互性のなかに参加していくことに他ならない。本を閉じたとき、不思議な感動と余韻とともに現れる風船を背に飛び立つひとりの飛来人の姿は、我々読者のことでもあるのだ。

 書評キャンパス―大学生がススメる本― 孤島の飛来人(読書人WEB)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://jinnet.dokushojin.com/blogs/review/20230113_01

【追記】
 下記のサイトでも公開されています。

 【孤島の飛来人/山野辺太郎】評者:新荘直大(YOMKA)
 https://yomka.net/campus20230113/

『河北新報』で『孤島の飛来人』が取り上げられました

投稿日:

 『河北新報』12月6日付朝刊の文化面に、『孤島の飛来人』の紹介記事が掲載されました。見出しは「戦争の記憶 現代につなぐ」。ご執筆は同紙記者の阿曽恵さんです。
 山野辺の発言箇所を中心に、一部を引用にてご紹介します。

「小説は史実と接点を持ちながら、ある地点で離陸する。もしこうだったらどうかという別な複数の視点を持つことは、史実を立体的に捉えるきっかけになるんじゃないか」
(中略)
「戦後77年がたち、実体験として語れる人はごくわずか。直接経験していない世代がいかに語っていくか、いかに自分たちの想像力の中に呼び覚ませるか。意識せざるを得ません」
(中略)
 巻末には「孤島をめぐる本と旅」と題する短編も収録した。著者自身を思わせる主人公が、影響を受けた本や硫黄列島への船旅についてつづり、さながら本編のメーキング。「僕の小説を入り口にして歴史に興味を持ってもらえたら」。あふれるサービス精神と謙虚さが伝わってきた。

 東北・宮城の新聞ということで、インタビューを受けた際には地元出身の作家という視点からもご質問をいただき、お話をしました。戦争のために人々が故郷を追われた北硫黄島を舞台とした小説を書きながら、震災のことを思い起こす折があった、といったことを述べました。

 戦争の記憶 現代につなぐ 仙台出身・山野辺太郎さん 新刊「孤島の飛来人」(河北新報)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://kahoku.news/articles/20221206khn000009.html

『北國新聞』『週刊エコノミスト』『&w』で『孤島の飛来人』が取り上げられました

投稿日:

 

 『北國新聞』11月20日付朝刊の書評、『週刊エコノミスト』11月29日号〔21日発売〕の「読書日記」、朝日新聞デジタルマガジン『&w』〔11月21日更新〕の「ほんやのほん」にて、『孤島の飛来人』が取り上げられました。
 一部を引用にてご紹介します。

 本作でバブル崩壊後の混迷するサラリーマン世界を現出させるにあたって、筆者は風船おじさんの余映を漂わせることでこれに成功した。(中略)
 北硫黄島や風船サラリーマンを描くことで、著者は令和の日本社会こそがシュールな巷であることを言外に語る。最後の一節まで堪能していただきたい作品である。
(『北國新聞』杉山欣也さん評)

 前作『いつか深い穴に落ちるまで』で、真顔でとんでもない設定を走り抜ける作風に惹かれ、待望の2冊目。(中略)
 先が全く読めないまま迎えたラストには、独特の寂しさと爽快感が入り交じる。前作同様、この終幕の「その後」も気になる作品だ。
(『週刊エコノミスト』美村里江さん評)

 そして個人の過去にはかならず、誰かから聞いたことがまじっていく。青年の業務日誌ははからずも、この小さな国の歴史書となっていく。(中略)
 新人作家がさらなる可能性を見せてくれた大きな作品。おすすめです!
(『&w』間室道子さん評)

 各メディアのサイトは下記のとおりです。『北國新聞』『週刊エコノミスト』は会員記事、『&w』は全文公開となっています。

 〈書評〉北硫黄島から現代写す 「孤島の飛来人」山野辺太郎・著(北國新聞)
 https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/914497

 読書日記 美村里江(週刊エコノミスト)
 ※「孤島の飛来人」は2冊目に紹介されています。
 https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20221129/se1/00m/020/013000c

 孤島に迷い込んだ青年が続ける業務 壮大な「会社員小説」(朝日新聞デジタルマガジン &w)
 https://www.asahi.com/and/article/20221121/423312784/

Eテレ「沼にハマってきいてみた」に『孤島の飛来人』登場

投稿日:

 

 11月8日(火)19:30からEテレで放送された番組「沼にハマってきいてみた」にて、『孤島の飛来人』が取り上げられました。「沼にハマる」=「好きなことに熱中する」ということを切り口に、さまざまな「沼」を紹介する番組です。
 〈ラランド・ニシダが「沼ハマ」に登場!「純文学」への愛を語る。おすすめ本の紹介も!〉(番組HPより)
 ニシダさんが『孤島の飛来人』の紹介をしていたところ、俳優の金子隼也さんが「僕これ読んだことあります」と話に入ってきて感想を語るといった場面もありました。番組MCはラランド・サーヤさん、DJ松永さんです。
 公開されている先出し動画で、『孤島の飛来人』の紹介場面を一部ご覧いただけます。

 【ヌマソニ2022】SPトークショーを特別に先出し! ラランド・ニシダも登場で本の魅力を語る!? 沼ハマ(NHK公式/NABE)
 https://www.youtube.com/watch?v=wUtyp276j6I

 下記のページで番組の概要が紹介されています。放送終了後1週間は、見逃し配信で番組全体を視聴することもできます。

 沼にハマってきいてみた 沼ハマSPトークショー 初回放送日: 2022年11月8日 (NHK)
 https://www.nhk.jp/p/hamatta/ts/KNY2YKWLG9/episode/te/N3NVL16KRM/

「間室道子の本棚」で『いつか深い穴に落ちるまで』『孤島の飛来人』が紹介されました

投稿日:

 

 代官山T-SITEのウェブでの連載「文学コンシェルジュとっておきの一冊 間室道子の本棚」にて、『いつか深い穴に落ちるまで』と『孤島の飛来人』が取り上げられました。
 執筆者は、代官山蔦屋書店の間室道子さん。一部を引用にてご紹介します。

 法螺は難しい。だって「嘘をついて」と言われたら誰でもできるが、「法螺を吹いて」はおいそれとはできない。嘘は口先三寸だが法螺には世界観が必要だからだ。
 『いつか深い穴に落ちるまで』は地中、『孤島の飛来人』は宙。一作目と二作目、高低差ありすぎだが、ふたつには「会社員小説」という共通点がある。ここがすごい。
 (中略)
 そしてかえすがえすも法螺なので、お話の要所で笑いもある。これが今まで読んだことがない角度から来るテイスト。わたしのお気に入りは、『深い穴』では「温泉掘削機で穴を掘っていたら温泉が出たのでみんな驚いた」というシーン。『飛来人』ではお弁当を包んでいるバナナの葉っぱに言及するところ。

 下記のサイトにて全文が公開されています。

 【第211回】間室道子の本棚 『いつか深い穴に落ちるまで』山野辺太郎/河出書房新社 『孤島の飛来人』山野辺太郎/中央公論新社(代官山T-SITE)
 https://store.tsite.jp/daikanyama/blog/humanities/29747-1056411025.html

【追記】
 代官山蔦屋書店で開催しているフェア「文学コンシェルジュのオールタイム・ベスト」〈2022年11月の巻〉にて、『いつか深い穴に落ちるまで』と『孤島の飛来人』を並べて積んでいただいています(写真2枚目、クリックで拡大)。
 フェアで取り上げている43冊の紹介コメントを収めたリーフレットを店頭で配布中です。開催期間は10月18日から11月20日ごろまで。足をお運びいただけましたら幸いです。




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