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報道・論評

山野辺太郎の小説などへの報道・論評

「河北抄」で「大観音の傾き」が取り上げられました

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 『河北新報』6月4日付夕刊1面のコラム「河北抄」にて、「大観音の傾き」が取り上げられました。仙台大観音の造立以来の歩みや、生みの親である菅原萬氏の思いとともに紹介されています。
 一部を引用にてご紹介します。

 本紙日曜朝刊に連載中の小説『大観音の傾き』は、仙台市泉区の仙台大観音がモチーフ。仙台出身で東京在住の作家山野辺太郎さん(48)が、市職員や住⺠を巻き込んだ騒動を軽妙に描き出す。
 大観音はバブル経済が終幕を迎える1991年に完成した。(中略)
 丘陵地に出現した高さ100メートルの巨像は唐突な印象を与え、地元の反応は必ずしも歓迎ばかりでなかった。(中略)
 外国人観光客の人気を集めるなど徐々に認知度も高まり、三十数年がたって大観音の胸中にも迫る小説がお目見えした。内なる声をしかと聞きたい。

 河北抄(6/4):本紙日曜朝刊に連載中の小説『大観音の傾き…(河北新報オンライン)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://kahoku.news/articles/20240604khn000020.html

『週刊文春』に『恐竜時代が終わらない』の書評が載りました

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 『週刊文春』5月30日号(5月23日発売)の「文春図書館 今週の必読」コーナーに、『恐竜時代が終わらない』の書評が載りました。評者は左沢森さんです。
 一部を引用にてご紹介します。

《恐竜時代の出来事のお話をぜひ聞かせていただきたい》。世界オーラルヒストリー学会の蓮田由理子なる人物から、奇妙な依頼を受けた岡島謙吾。恐竜時代の出来事というのは、かつて謙吾の父が夜な夜な語り聞かせてくれたジュラ紀のストーリーだ。父もまたその父から聞き繋いだという太古から伝わる物語の噂は、なぜか遠く九州までも届いているそう。謙吾は都内の学会でわずかな聴衆に向けて語り始める。ブラキオサウルスのエミリオ、アロサウルスのガビノらが登場する魅力的な恋物語は、謙吾自身が「絶えず修繕を重ね」たと言うように、語り手の個人史をどこか反映しているように見える。
 最後にどんな結末が待っていようと、こうして恐竜時代の記憶は終わらずに、引き継がれていくことになる。恐竜が恐竜を食べるように、血や肉になり栄養分となって種族を超えていく。(中略)
 冒頭の時点には戻らずに、どこか投げっぱなしに終わっていくラストがいい。山野辺太郎の語りは物語的円環の中に閉じることなく、誰かに語り直されることを待っているようだ。

 「文春オンライン」の下記ページにて全文をお読みいただけます。

 父が夜な夜な語り聞かせてくれた「魅力的な恋物語」そこに現れた“ごく個人的な記憶”とは…/左沢森が『恐竜時代が終わらない』(山野辺太郎 著)を読む〔文春オンライン〕
 https://bunshun.jp/articles/-/70993

『河北新報』に連載開始のインタビュー記事が載りました

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 『河北新報』4月3日付朝刊の文化面に、連載小説「大観音の傾き」開始にあたってのインタビュー記事が掲載されました。見出しは「孤独に屹立 自分と重なる」。ご執筆は同紙記者の菊地弘志さんです。
 山野辺の発言箇所の一部を引用にてご紹介します。「なぜ仙台大観音を取り上げたのでしょうか」という質問に答えた箇所です。

「市西部の新興住宅地に引っ越したのが高校に入った1991年春。その秋に大観音が完成し、そう遠くない距離に大観音の姿が見えました。山の中、ニュータウンの片隅に、巨大な白い像が屹立しているのです。強烈な異彩に戸惑いつつも目を離せませんでした」
「本来ありがたい存在なのでしょうが、違和感を伴って圧倒的な大きさで視界に入る大観音に、この世になじめないでいる寂しさも感じられ、高校時代の自分とどこか重なるようなところもありました。進学で仙台を離れた後も心に残っていたのです」

 連載は4月7日より毎週日曜、読書面の一角(「東北の文芸」面)に掲載されます。

 連載小説「大観音の傾き」4月7日開始 山野辺太郎さんが抱負(河北新報オンライン)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://kahoku.news/articles/20240403khn000014.html

混ざり合う恐さ

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 『文藝春秋』新年特大号(12月8日発売)に掲載の〈2023年「わたしのベスト3」〉にて、綿矢りささんが選んだ3冊のなかに『こんとんの居場所』がありました。
 「混ざり合う恐さ」と題された綿矢さんの文章の一部を引用にてご紹介します。

 それぞれの人たちが、生きてきた記憶が、ある出来事によって混ざり合う過程が、とても怖く面白い。同時収録の「白い霧」も人間が白い霧になって消える怪現象を軸に物語が展開され、ヘンテコだけど奇妙な魅力にあふれた作品だ。すべてフィクションの内容だと思うが、現代社会で人々の抱える、ぼんやりした不安がフィクションの形を借りて反映されている二作品のようにも感じる。

 混ざり合う恐さ 文藝春秋BOOK倶楽部特別編 2023年「わたしのベスト3」(文藝春秋)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h7397

自我&身体の拡張と消滅

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 『東京新聞/中日新聞』8月5日付朝刊読書面に、『こんとんの居場所』の書評が掲載されました。評者は豊崎由美さんです。見出しは「自我&身体の拡張と消滅」。
 一部を引用にてご紹介します。

 穴を掘って日本とブラジルを直線で結ぶまでを描いた『いつか深い穴に落ちるまで』。二〇一八年、そんなトンデモ奇想小説で作家デビューしたのが山野辺太郎だ。
 最新作品集『こんとんの居場所』の表題作もかなりユニークな小説といっていい。(中略)二人がそこで何を体験するかは読んでのお楽しみだけれど、読めばわかるのは、これが自我&身体の拡張と他者との同化についての物語だということだ。
 一方、自我&身体の消滅と他者との同化について描かれているのが、併録の「白い霧」。(中略)
 「こんとん」とは何なのか。作中で〈生命の進化の極限状態〉と示される「蒸発」のメカニズムはどうなっているのか。作者は科学的見解を一切示さず、力技でこの二つの不可思議な物語を立ち上げている。でもハードSFじゃないのだから、それでいい。重要なのは一見バカバカしい物語の底の底に横たわっている自我や生命という命題に向ける哲学的な問いだ。笑いながら考えさせられる。山野辺太郎は本当に不思議な小説家だ。

 下記サイトで全文が公開されています。

 〈書評〉『こんとんの居場所』山野辺太郎 著(東京新聞)
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/268045

『本の雑誌』で『こんとんの居場所』が紹介されました

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 『本の雑誌』8月号(7月12日発売)の「新刊めったくたガイド」のコーナーで、『こんとんの居場所』が紹介されました。ご執筆は松井ゆかりさんです。
 一部を引用にてご紹介します。

 たいへんなおかしみに満ちた作品であるのは間違いないことながら、どういった内容であるかを説明するのは非常に難しいのが、山野辺太郎『こんとんの居場所』(国書刊行会一九〇〇円)。まずは謎に満ちたブックデザインからご堪能いただきたい(帯の読みづらさ・タイトルその他の文字の小ささ含む)。
(中略)本書の魅力は要約をはみ出した部分にもあるといえよう。もの悲しくも晴れやか、無常観めいたものが根底にありつつ幸福感も漂うという、本来は同時に存在しないような性質のものが自然に融合した読み心地なのだ。とにかくお読みになって味わっていただきたいとしかいえない。
 併録の「白い霧」もまた素晴らしく、こちらはよりSF色(!)が感じられる作品。

 今月の本の雑誌 2023年8月 梅仕事待望号 No.482(本の雑誌社)
 http://www.webdoku.jp/honshi/2023/8-230703130515.html

【追記】
 下記のサイトで全文が公開されました。『こんとんの居場所』を含む4冊が紹介されています。

 新刊めったくたガイド(WEB本の雑誌)
 https://www.webdoku.jp/mettakuta/matsui_yukari/20230818080000.html

『クロワッサン』で『こんとんの居場所』が取り上げられました

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 『クロワッサン』7月25日号(7月10日発売)の「本を読んで、会いたくなって。」のコーナーに、『こんとんの居場所』の紹介記事が掲載されました。文は鳥澤光さん、写真は石渡朋さんです。
 一部を引用にてご紹介します。

 これまでの作品で、日本からブラジルへ地球を貫く穴を掘り、風船を背に海上を飛び、ジュラ紀の森を恐竜の目で眺めては、奇妙であたたかい物語で読者を驚かせてきた山野辺太郎さん。『こんとんの居場所』という小説はどのように生まれたのだろう。
「作品の原型から数えると15年ほど前から少しずつ書き、育ててきた小説です。発端は『荘子』の〈渾沌七竅(しちきょう)に死す〉を読み、荘子の考えるスケールの広大さと自由さに惹かれたことでした。(中略)『荘子』が好きで何度も読んでいるのですが、短い寓話というか奇想天外な話が集められていて、荘子は僕にとってホラ話の大先輩でもあります」

 Croissant No. 1097(マガジンハウス)
 https://magazineworld.jp/croissant/croissant-1097/

【追記】
 下記のサイトで全文が公開されました。

 『こんとんの居場所』著者、山野辺太郎さんインタビュー。「死とは渾沌へ還ることなのかもしれない」(クロワッサンONLINE)
 https://croissant-online.jp/life/200389/

ぬるぬるの島、ハマる人間

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 『日経新聞』6月1日付夕刊文化面「目利きが選ぶ3冊」のコーナーに、『こんとんの居場所』の書評が掲載されました。評者は陣野俊史さんです。
 見出しは〈ぬるぬるの島、ハマる人間〉。一部を引用にてご紹介します。

 ぬるぬるする「こんとん」にハマっていく主人公たちの運命や如何に! 舞台装置の捉えどころのなさと、人間たちの対比が奇妙な味わいを残す佳品。

 ぬるぬるの島、ハマる人間 陣野俊史氏が選ぶ一冊(日本経済新聞)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD262W60W3A520C2000000/

『毎日新聞』で『こんとんの居場所』が取り上げられました

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 『毎日新聞』5月31日付夕刊の文化面に、『こんとんの居場所』の紹介記事が掲載されました。ご執筆は同紙記者の関雄輔さんです。
 山野辺の発言箇所をいくつか引用にてご紹介します。

「人間のように物事を認識し、認識される存在にしようとした結果、渾沌は死んでしまう。えたいの知れない存在ですが、有限である生き物の可能性を解き放ってくれる気がして、そこから発想が広がっていきました」
(中略)
「生き物は死に宿命づけられていて、人間である以上、自分もそれを免れられない。そのことへの本能的な恐怖心からでしょうか。生死の境界を超越する存在への憧れがあります」
(中略)
「小説は言葉だけで表現する。手段が限られているようだけど、むしろここが一番広いのではないかと感じました」
(中略)
「勤め人としての生活と、そこに収まりきらない何か。その二つの要素を常に意識しています」

 Interview 山野辺太郎さん(作家) 「生死超えた存在に憧れ」 新刊刊行、山野辺ワールド凝縮(毎日新聞)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://mainichi.jp/articles/20230531/dde/014/040/003000c

『読売新聞』と『河北新報』に『こんとんの居場所』の記事が載りました

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 5月7日、『こんとんの居場所』刊行記念トークイベントが「BOOK SPACEあらえみし」(仙台フォーラス3階)で開催されました。
 当日は新聞2社の取材があり、『読売新聞』5月8日朝刊の地域面(宮城版)と、『河北新報』5月18日朝刊の文化面に記事が載りました。後者は河北新報記者・菊地弘志さんの署名記事です。
 一部を引用にてご紹介します。

 新作の「こんとんの居場所」(国書刊行会)は、お仕事小説のようでありながら、謎の生命体が登場し、不思議さに富んだ独特の世界を構築。「(登場人物は)会社員の自分が重なり、仕事は(創作の)核になっているかも」とし、「昔から深刻な事柄や不安、恐れを、ほかの形に変えたり、引いた視点で見たりして書いている」と明かした。
(『読売新聞』5月8日朝刊)

 生から死への移行なのか、あるいは生死の境目のない存在に移ろうのかは判然としない。山野辺さんは「生の終焉、断絶と捉えるというより、大きな流れの中での一つの変化という見方もできるのではないか」と自作を解説する。
(中略)
「ベースに現実的なものがある。見方を変える何かが投げ込まれることで違う世界に行くけれど、現実をもう1回捉え直す機会にもなる」
(中略)
 文学に傾倒した高校時代は太宰治に親しんだ。「深刻な状況だからこそ、視点を変えることで笑いが生まれる。笑いを大事にしたい」。少し引いたところに立つと悲劇だったものが喜劇に映るという。
(『河北新報』5月18日朝刊)

 河北新報の記事はウェブでも公開されています(会員記事)。

 仙台出身の作家 山野辺太郎さん 新刊「こんとんの居場所」 死生観 不思議な世界で(河北新報)
 https://kahoku.news/articles/20230518khn000015.html




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