山野辺太郎のウェブサイト


報道・論評

山野辺太郎の小説などへの報道・論評

『村田喜代子の本よみ講座』で『いつか深い穴に落ちるまで』が取り上げられました

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 『村田喜代子の本よみ講座』(中央公論新社、2023年3月刊)にて、『いつか深い穴に落ちるまで』が取り上げられました。
 一部を引用にてご紹介します。

 敗戦で落としそびれた部下と上司の命の生かしどころが、じつは底のない穴掘削事業に向かわせる。虚と実とを巧みに綯い交ぜた文章で、あり得ないホラ話に乗せられていきます。

 本書ではほかに、クリスタ・ヴォルフ『チェルノブイリ原発事故』、内田百閒「坂の夢」、稲垣足穂「ファルマン」、ガルシア=マルケス「大きな翼を持った老人」などが取り上げられています。

 『村田喜代子の本よみ講座』書誌データ(版元ドットコム)
 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784120056369

『週刊読書人』書評キャンパス欄の『孤島の飛来人』評

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 『週刊読書人』1月13日号の書評キャンパス欄にて、『孤島の飛来人』が取り上げられました。同欄は、学生がおすすめの本を書評するコーナー。評者は東大大学院の新荘直大さんです。
 一部を引用にてご紹介します。

 本書がとりわけ興味深いのは、「書く」ことへの鋭い意識と、その相互性である。(中略)忘却に抗うように、伝え、書き残そうとする「僕」の業務日誌は、本書『孤島の飛来人』そのものと重なりあうかのようである。そのことによって、読者さえも相互性の一部となり、歴史の内部と外部のあわいで、慎ましく生きながらも、忘れ去られることに抵抗する彼らの証人のひとりとなるだろう。本書を読み、語ることは、彼らの生を引き継いでいく相互性のなかに参加していくことに他ならない。本を閉じたとき、不思議な感動と余韻とともに現れる風船を背に飛び立つひとりの飛来人の姿は、我々読者のことでもあるのだ。

 書評キャンパス―大学生がススメる本― 孤島の飛来人(読書人WEB)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://jinnet.dokushojin.com/blogs/review/20230113_01

【追記】
 下記のサイトでも公開されています。

 【孤島の飛来人/山野辺太郎】評者:新荘直大(YOMKA)
 https://yomka.net/campus20230113/

『河北新報』で『孤島の飛来人』が取り上げられました

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 『河北新報』12月6日付朝刊の文化面に、『孤島の飛来人』の紹介記事が掲載されました。見出しは「戦争の記憶 現代につなぐ」。ご執筆は同紙記者の阿曽恵さんです。
 山野辺の発言箇所を中心に、一部を引用にてご紹介します。

「小説は史実と接点を持ちながら、ある地点で離陸する。もしこうだったらどうかという別な複数の視点を持つことは、史実を立体的に捉えるきっかけになるんじゃないか」
(中略)
「戦後77年がたち、実体験として語れる人はごくわずか。直接経験していない世代がいかに語っていくか、いかに自分たちの想像力の中に呼び覚ませるか。意識せざるを得ません」
(中略)
 巻末には「孤島をめぐる本と旅」と題する短編も収録した。著者自身を思わせる主人公が、影響を受けた本や硫黄列島への船旅についてつづり、さながら本編のメーキング。「僕の小説を入り口にして歴史に興味を持ってもらえたら」。あふれるサービス精神と謙虚さが伝わってきた。

 東北・宮城の新聞ということで、インタビューを受けた際には地元出身の作家という視点からもご質問をいただき、お話をしました。戦争のために人々が故郷を追われた北硫黄島を舞台とした小説を書きながら、震災のことを思い起こす折があった、といったことを述べました。

 戦争の記憶 現代につなぐ 仙台出身・山野辺太郎さん 新刊「孤島の飛来人」(河北新報)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://kahoku.news/articles/20221206khn000009.html

『北國新聞』『週刊エコノミスト』『&w』で『孤島の飛来人』が取り上げられました

投稿日:

 

 『北國新聞』11月20日付朝刊の書評、『週刊エコノミスト』11月29日号〔21日発売〕の「読書日記」、朝日新聞デジタルマガジン『&w』〔11月21日更新〕の「ほんやのほん」にて、『孤島の飛来人』が取り上げられました。
 一部を引用にてご紹介します。

 本作でバブル崩壊後の混迷するサラリーマン世界を現出させるにあたって、筆者は風船おじさんの余映を漂わせることでこれに成功した。(中略)
 北硫黄島や風船サラリーマンを描くことで、著者は令和の日本社会こそがシュールな巷であることを言外に語る。最後の一節まで堪能していただきたい作品である。
(『北國新聞』杉山欣也さん評)

 前作『いつか深い穴に落ちるまで』で、真顔でとんでもない設定を走り抜ける作風に惹かれ、待望の2冊目。(中略)
 先が全く読めないまま迎えたラストには、独特の寂しさと爽快感が入り交じる。前作同様、この終幕の「その後」も気になる作品だ。
(『週刊エコノミスト』美村里江さん評)

 そして個人の過去にはかならず、誰かから聞いたことがまじっていく。青年の業務日誌ははからずも、この小さな国の歴史書となっていく。(中略)
 新人作家がさらなる可能性を見せてくれた大きな作品。おすすめです!
(『&w』間室道子さん評)

 各メディアのサイトは下記のとおりです。『北國新聞』『週刊エコノミスト』は会員記事、『&w』は全文公開となっています。

 〈書評〉北硫黄島から現代写す 「孤島の飛来人」山野辺太郎・著(北國新聞)
 https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/914497

 読書日記 美村里江(週刊エコノミスト)
 ※「孤島の飛来人」は2冊目に紹介されています。
 https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20221129/se1/00m/020/013000c

 孤島に迷い込んだ青年が続ける業務 壮大な「会社員小説」(朝日新聞デジタルマガジン &w)
 https://www.asahi.com/and/article/20221121/423312784/

Eテレ「沼にハマってきいてみた」に『孤島の飛来人』登場

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 11月8日(火)19:30からEテレで放送された番組「沼にハマってきいてみた」にて、『孤島の飛来人』が取り上げられました。「沼にハマる」=「好きなことに熱中する」ということを切り口に、さまざまな「沼」を紹介する番組です。
 〈ラランド・ニシダが「沼ハマ」に登場!「純文学」への愛を語る。おすすめ本の紹介も!〉(番組HPより)
 ニシダさんが『孤島の飛来人』の紹介をしていたところ、俳優の金子隼也さんが「僕これ読んだことあります」と話に入ってきて感想を語るといった場面もありました。番組MCはラランド・サーヤさん、DJ松永さんです。
 公開されている先出し動画で、『孤島の飛来人』の紹介場面を一部ご覧いただけます。

 【ヌマソニ2022】SPトークショーを特別に先出し! ラランド・ニシダも登場で本の魅力を語る!? 沼ハマ(NHK公式/NABE)
 https://www.youtube.com/watch?v=wUtyp276j6I

 下記のページで番組の概要が紹介されています。放送終了後1週間は、見逃し配信で番組全体を視聴することもできます。

 沼にハマってきいてみた 沼ハマSPトークショー 初回放送日: 2022年11月8日 (NHK)
 https://www.nhk.jp/p/hamatta/ts/KNY2YKWLG9/episode/te/N3NVL16KRM/

「間室道子の本棚」で『いつか深い穴に落ちるまで』『孤島の飛来人』が紹介されました

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 代官山T-SITEのウェブでの連載「文学コンシェルジュとっておきの一冊 間室道子の本棚」にて、『いつか深い穴に落ちるまで』と『孤島の飛来人』が取り上げられました。
 執筆者は、代官山蔦屋書店の間室道子さん。一部を引用にてご紹介します。

 法螺は難しい。だって「嘘をついて」と言われたら誰でもできるが、「法螺を吹いて」はおいそれとはできない。嘘は口先三寸だが法螺には世界観が必要だからだ。
 『いつか深い穴に落ちるまで』は地中、『孤島の飛来人』は宙。一作目と二作目、高低差ありすぎだが、ふたつには「会社員小説」という共通点がある。ここがすごい。
 (中略)
 そしてかえすがえすも法螺なので、お話の要所で笑いもある。これが今まで読んだことがない角度から来るテイスト。わたしのお気に入りは、『深い穴』では「温泉掘削機で穴を掘っていたら温泉が出たのでみんな驚いた」というシーン。『飛来人』ではお弁当を包んでいるバナナの葉っぱに言及するところ。

 下記のサイトにて全文が公開されています。

 【第211回】間室道子の本棚 『いつか深い穴に落ちるまで』山野辺太郎/河出書房新社 『孤島の飛来人』山野辺太郎/中央公論新社(代官山T-SITE)
 https://store.tsite.jp/daikanyama/blog/humanities/29747-1056411025.html

【追記】
 代官山蔦屋書店で開催しているフェア「文学コンシェルジュのオールタイム・ベスト」〈2022年11月の巻〉にて、『いつか深い穴に落ちるまで』と『孤島の飛来人』を並べて積んでいただいています(写真2枚目、クリックで拡大)。
 フェアで取り上げている43冊の紹介コメントを収めたリーフレットを店頭で配布中です。開催期間は10月18日から11月20日ごろまで。足をお運びいただけましたら幸いです。

『朝日新聞』に『孤島の飛来人』の書評が載りました

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 『朝日新聞』10月22日付朝刊の読書面に、『孤島の飛来人』の書評が掲載されました。評者は宮地ゆうさんです。
 冒頭を引用にてご紹介します。

 まじめな人たちが、大まじめに織りなす気宇壮大な物語。南国の風景と戦争の記憶が交錯し、滑稽さのなかに、もの悲しさも交じり合う。不思議な読後感が後を引く作品だ。
 経営危機でフランスの会社の傘下に入ると噂される日本の自動車メーカーに勤める「僕」。ある夜、同僚たちに見守られ、6個の風船を背中につけて横浜の高層ビルから飛び立った。空の時代の到来を見据えた実証実験を、極秘に決行したのだ。
 冒頭から有無を言わせぬ勢いで物語が展開する。ここは一緒に飛んでいくしかないと、覚悟を決める。

 下記のウェブサイト「好書好日」にて全文が公開されています。

 「孤島の飛来人」書評 ひそかに続く「王国」に迷い込む(朝日新聞・好書好日)
 https://book.asahi.com/article/14748660

『週刊文春』の「文春図書館 著者は語る」で『孤島の飛来人』を語る

投稿日:

 『週刊文春』10月20日号(13日発売)の「文春図書館 著者は語る」というコーナーで、『孤島の飛来人』が取り上げられました。
 インタビューで語ったことを交えて記事にしていただいています。発言の一部を引用にてご紹介します。

「風船で空を飛ぶという発想のきっかけは、僕が高校生のころにニュースになった〝風船おじさん〟です。ゴンドラに風船をつけて琵琶湖の湖畔から飛び立ち、太平洋上で消息を絶った、途轍もなく壮大で大胆極まりない人に不思議と惹かれて。突飛な着想を突飛なまま小説の形に育てることには苦労しました」
(中略)
「硫黄島は太平洋戦争の激戦地として知られますが、北硫黄島にもかつて住民が暮らしていました。戦禍を避けるために本土に疎開させられて以後、無人となります。住み慣れた土地を離れなければならなかった人たちの無念さを思いつつ、小説ならば、密かに島に残った人々によって生まれた国を描けると考えました」
(中略)
「風船で飛ぶホラ話を入り口にして、硫黄島の戦いなど、現実離れした現実である戦争の記憶を継承していくことができたら、と改めて思ったのです」
(中略)
「無名の人の和歌が、遠い未来の誰かをわずかでも励ますことがある。文学にはそうした力があると思っています」

【追記】
 「文春オンライン」にて記事の全文が公開されました。
 雑誌での見出しは〈ある会社員が辿り着いた〝無人島〟には——〉でした。ウェブ版では見出しが変わりましたが本文は同じです。
 お読みいただけますと幸いです。

 「貴様、日本人かっ」サトウキビの槍を持った住民に囲まれて…自動車メーカー社員が不時着した島の正体は/著者は語る 『孤島の飛来人』(山野辺太郎 著)〔文春オンライン〕
 https://bunshun.jp/articles/-/58086

『毎日新聞』の「戦後77年の表現者たち」で『孤島の飛来人』が取り上げられました

投稿日:

 『毎日新聞』9月15日付夕刊の文化面に、『孤島の飛来人』の紹介記事が掲載されました。連載「戦後77年の表現者たち」第4回。ご執筆は同紙記者の関雄輔さんです。
 事前に取材を受けており、そのときのコメントも取り上げていただいています。山野辺の発言箇所をいくつか引用にてご紹介します。

「大きな歴史の中で語られるのは、良くも悪くも何かを成した人物。でも本当の歴史の担い手は、その陰に隠れた大勢の無名の人なのではないか」
(中略)
「体験者しか語れないのでは、誰も戦争の歴史を語らない時代が来てしまう。その前に自分にできること、フィクションにできることはなんだろう」
(中略)
「今思うのは、書くことも、読むことも、想像する行為はある種の体験になるということ。読み手の想像力を刺激するような小説を書きたい」

 戦後77年の表現者たち 第4回 山野辺太郎さん(作家) 歴史と空想交わる北硫黄島 (毎日新聞)
 (ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
 https://mainichi.jp/articles/20220915/dde/014/040/004000c

『文學界』『週刊読書人』『図書新聞』文芸時評の「恐竜時代が終わらない」評

投稿日:

 『文學界』8月号〔7月7日発売〕の新人小説月評、『週刊読書人』7月9日号の〈文芸〉欄、『図書新聞』7月17日号〔7月10日発売〕の文芸時評で、「恐竜時代が終わらない」が取り上げられました。
 一部を引用にてご紹介します。

 デビュー作「いつか深い穴に落ちるまで」で地球に底のない穴を掘った山野辺太郎は、4作目となる「恐竜時代が終わらない」(學)で地球史を貫く針の穴を探し当てた。(中略)磯﨑憲一郎にも高く評された「小説を信じる力」が強く光って、書き手と読み手の道を照らす。得ることよりも失うことよりも、信じることは強くて辛くて、でもそこにはどうやらひみつの道具が隠されている。
(『文學界』鳥澤光さん評)

 山野辺太郎「恐竜時代が終わらない」(『文學界』)は人間/他の生命(恐竜!)、喰う/喰われる、生/死、愛/憎、等の境界を揺さぶり、今ここに在ることの〝業〟を明らめ=諦めている。
(『週刊読書人』川口好美さん評)

 山野辺太郎「恐竜時代が終わらない」(「文學界」)は、恐竜時代の記憶に自らの心性を同期させるというワンアイデアで二三〇枚を書ききった執念はあっぱれというしかない。星新一の「午後の恐竜」を想起したが、星作品とは異なり、山野辺作品は徹底的に「現在」を描くために恐竜が召喚されている。
(『図書新聞』岡和田晃さん評)




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