『恐竜時代が終わらない』著者インタビューの動画がYouTubeで公開されました
新刊『恐竜時代が終わらない』(書肆侃侃房)著者インタビューの動画が公開されました。福岡の版元・書肆侃侃房の直営書店「本のあるところ ajiro」にて撮影したものです。ご覧いただけますと幸いです。
「なんでお父さんは恐竜時代の話を知ってるの、っていうと……」
山野辺太郎『恐竜時代が終わらない』著者の語る本書の魅力(YouTube「書肆侃侃房/本のあるところ ajiro」チャンネル)
新刊『恐竜時代が終わらない』(書肆侃侃房)著者インタビューの動画が公開されました。福岡の版元・書肆侃侃房の直営書店「本のあるところ ajiro」にて撮影したものです。ご覧いただけますと幸いです。
「なんでお父さんは恐竜時代の話を知ってるの、っていうと……」
山野辺太郎『恐竜時代が終わらない』著者の語る本書の魅力(YouTube「書肆侃侃房/本のあるところ ajiro」チャンネル)
『週刊文春』5月30日号(5月23日発売)の「文春図書館 今週の必読」コーナーに、『恐竜時代が終わらない』の書評が載りました。評者は左沢森さんです。
一部を引用にてご紹介します。
《恐竜時代の出来事のお話をぜひ聞かせていただきたい》。世界オーラルヒストリー学会の蓮田由理子なる人物から、奇妙な依頼を受けた岡島謙吾。恐竜時代の出来事というのは、かつて謙吾の父が夜な夜な語り聞かせてくれたジュラ紀のストーリーだ。父もまたその父から聞き繋いだという太古から伝わる物語の噂は、なぜか遠く九州までも届いているそう。謙吾は都内の学会でわずかな聴衆に向けて語り始める。ブラキオサウルスのエミリオ、アロサウルスのガビノらが登場する魅力的な恋物語は、謙吾自身が「絶えず修繕を重ね」たと言うように、語り手の個人史をどこか反映しているように見える。
最後にどんな結末が待っていようと、こうして恐竜時代の記憶は終わらずに、引き継がれていくことになる。恐竜が恐竜を食べるように、血や肉になり栄養分となって種族を超えていく。(中略)
冒頭の時点には戻らずに、どこか投げっぱなしに終わっていくラストがいい。山野辺太郎の語りは物語的円環の中に閉じることなく、誰かに語り直されることを待っているようだ。
「文春オンライン」の下記ページにて全文をお読みいただけます。
父が夜な夜な語り聞かせてくれた「魅力的な恋物語」そこに現れた“ごく個人的な記憶”とは…/左沢森が『恐竜時代が終わらない』(山野辺太郎 著)を読む〔文春オンライン〕
新刊『恐竜時代が終わらない』が書肆侃侃房より発売となりました。
本の帯に、堀江敏幸さんから推薦の言葉を寄せていただきました。
やわらかい言葉と適度なペーソスで、作者は奇想を真実に変える。「恐竜時代」とは、人を信じるための胸のくぼみに積み重ねられた、記憶の帯だ。私たちの心の地層の底にもそれは眠っていて、あなたに掘り起こされる日を静かに待っている。
——堀江敏幸
装丁はアルビレオさん、装画はひうち棚さんがご担当くださいました。愛らしさとなつかしさ、そしてほのかな哀感が同居した、すてきな表紙カバーになったと思います。
帯の裏には、作品の紹介文が載っています。
「恐竜時代の出来事のお話をぜひ聞かせていただきたい」。ある日「世界オーラルヒストリー学会」から届いた一通の手紙には、こう記されていた。
少年時代に行方をくらました父が、かつてわたしに伝えた恐竜時代の記憶。語り継ぐ相手のいないまま中年となったわたしは、心のうちにしまい込んだ恐竜たちの物語――草食恐竜の男の子と肉食恐竜の男の子との間に芽生えた切ない感情の行方を、聴衆の前で語りはじめる。
食う者と食われる者、遺す者と遺される者のリレーのなかで繰り返される命の循環と記憶の伝承を描く長編小説。
表題作ほか、書き下ろし作品「最後のドッジボール」を収録。
リアルにファンタジーが溶け出し、新たな世界へと導く山野辺太郎の真骨頂!
表題作「恐竜時代が終わらない」は『文學界』’21年7月号に掲載。併録作「最後のドッジボール」は書き下ろしです。どちらも父と子をめぐる話でありつつ、長篇と短篇、「終わらない」と「最後」、埼玉県の西と東、というように対をなしているところもあります。
お読みいただけましたら幸いです。
YouTube「山野辺太郎チャンネル」では、冒頭朗読の動画を公開しています。試し聴きを、どうぞ。
山野辺太郎「恐竜時代が終わらない」作者による冒頭朗読(YouTube)
出版社の『恐竜時代が終わらない』紹介ページ(書肆侃侃房)
『恐竜時代が終わらない』を書店サイトで探す
amazon|e-hon|honto|honyaclub|kinokuniya|rakuten|tsutaya
2024年5月中旬、小説単行本『恐竜時代が終わらない』(書肆侃侃房)が発売となります。
表題作は『文學界』’21年7月号に掲載。書き下ろしの「最後のドッジボール」と併せて、父と子をめぐる長短二篇を収めました。
◇恐竜時代が終わらない
世界オーラルヒストリー学会からの招きを受けて、男は胸のうちに秘めてきた「恐竜時代の出来事」を恐る恐る語りだす。
「僕に、咬みついてもいいんだよ」
(「恐竜時代が終わらない」より)
◇最後のドッジボール
子供のころに聞いた、ドッジボールにまつわる父の秘密。大人になった「僕」は、ふたたび秘密の扉のまえに立つ。
「それは知らない。お父さんに訊いてみれば?」
(「最後のドッジボール」より)
当サイトの「作品倉庫」に「恐竜時代が終わらない(冒頭)」を掲載しています。
下記リンク先のYouTubeでは、朗読動画を公開中です。
山野辺太郎「恐竜時代が終わらない」作者による冒頭朗読(YouTube)
https://youtube.com/watch?v=i2yoldshOUs
出版社の『恐竜時代が終わらない』紹介ページ(書肆侃侃房)
『恐竜時代が終わらない』を書店サイトで探す
amazon|e-hon|honto|honyaclub|kinokuniya|rakuten|tsutaya
「恐竜時代が終わらない」が『文學界』2021年7月号〔6月7日〕に掲載されてから一年あまりが経ちました。これを機に、冒頭を「作品倉庫」に収載しました。縦書きで表示されます。
作品全文は、掲載誌にてお読みいただけます。どうぞよろしくお願いします。
いつか本の形にできるとよいなと思っています。
『文學界』2021年7月号の紹介ページ(文藝春秋)
『文學界』2021年7月号をアマゾンで探す
山野辺太郎「恐竜時代が終わらない」作者による冒頭朗読(YouTube)
12月2日(23:15〜)テレビ朝日系「アメトーーク!」の「本屋で読書芸人」回にて、『いつか深い穴に落ちるまで』単行本と、「恐竜時代が終わらない」(『文學界』7月号)が取り上げられました。番組内でご紹介くださったのは、ラランドのニシダさんです。
おかげさまで、『いつか深い穴に落ちるまで』は発売から3年を経て重版となりました。これを機に、あらたな読者のもとに作品が届いていくことを願っています。
『いつか深い穴に落ちるまで』の紹介ページ
アメトーーク!「本屋で読書芸人」の番組ページ
『文學界』8月号〔7月7日発売〕の新人小説月評、『週刊読書人』7月9日号の〈文芸〉欄、『図書新聞』7月17日号〔7月10日発売〕の文芸時評で、「恐竜時代が終わらない」が取り上げられました。
一部を引用にてご紹介します。
デビュー作「いつか深い穴に落ちるまで」で地球に底のない穴を掘った山野辺太郎は、4作目となる「恐竜時代が終わらない」(學)で地球史を貫く針の穴を探し当てた。(中略)磯﨑憲一郎にも高く評された「小説を信じる力」が強く光って、書き手と読み手の道を照らす。得ることよりも失うことよりも、信じることは強くて辛くて、でもそこにはどうやらひみつの道具が隠されている。
(『文學界』鳥澤光さん評)
山野辺太郎「恐竜時代が終わらない」(『文學界』)は人間/他の生命(恐竜!)、喰う/喰われる、生/死、愛/憎、等の境界を揺さぶり、今ここに在ることの〝業〟を明らめ=諦めている。
(『週刊読書人』川口好美さん評)
山野辺太郎「恐竜時代が終わらない」(「文學界」)は、恐竜時代の記憶に自らの心性を同期させるというワンアイデアで二三〇枚を書ききった執念はあっぱれというしかない。星新一の「午後の恐竜」を想起したが、星作品とは異なり、山野辺作品は徹底的に「現在」を描くために恐竜が召喚されている。
(『図書新聞』岡和田晃さん評)
共同通信の文芸時評「デザインする文学」で、「恐竜時代が終わらない」が取り上げられました。評者は、倉本さおりさんです。
一部を引用にてご紹介します。
山野辺太郎の「恐竜時代が終わらない」(「文学界」7月号)は不思議な読み心地の小説だ。スーパーで働く50歳のしがない男が、なぜか学会にひっぱりだされて講演するところから幕があく。
実はこの男、恐竜時代の記憶を父親から口伝えで引き継いでいるという。太古から続く伝言ゲームの果てにひもとかれるのは、捕食—被食関係にあるはずの恐竜同士が織りなすロマンチックで哀切な物語だ。そこには、子を持たずに人生を終える予感を抱いている男自身の姿をはじめ、社会の論理からはじき出された現実の人間たちの悲哀もまた織り込まれている。
「わたしにとって過去とは、絶えず修繕を重ねながら、幾度となく生き直すための場でもありました」。男の語る物語が寓話にとどまらない奥行きを備えるのは、ロールモデルを失った今の時代をひっそり照らしてくれるからだろう。
「南日本新聞」(6月25日)、「京都新聞」(6月29日)、「山陰中央新報」(同)などに掲載されました。おそらく、ほかにもあるかと思います。——追記:「沖縄タイムス」(7月13日)
紙面には、伊藤健介さんのイラストも掲載されています。
デザインする文学・6月 普通の陰に隠れる恐ろしさ(共同通信・文芸時評)
(リンクは、山陰中央新報のページです。ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています)
『読売新聞』2021年6月29日朝刊の文芸月評で、「恐竜時代が終わらない」が取り上げられました。評者は、武田裕芸さんです。
狭い世界 あふれる孤独/コロナの現代 風刺巧み (読売新聞・文芸月評)
(ウェブ上では、サイトの会員向けコンテンツとして掲載されています。一部を引用にてご紹介します)
気鋭の作家たちの作品に、光るものがあった。文芸賞で2018年にデビューした山野辺太郎さん(45)の「恐竜時代が終わらない」(文学界)は、父から「恐竜たちの物語」を受け継いだ五十絡みの男性が主人公。彼が少年時代の父との回顧談を織り交ぜ、とつとつと語る物語には、肉食恐竜の友に食べられることで友の一部になれると信じ、命を差し出す草食恐竜の子が登場する。食う者と食われる者との間に、命の贈与による愛は成立するのか。作り話を語ることの愉快さを感じさせつつ、深遠な問いを忍ばせている。
note掲載の「ちいさなへやの編集者」さん執筆の記事にて、山野辺太郎の小説が取り上げられています。
記事の題名は、「文学とは『送りバント』である―作家・山野辺太郎のこと」。
デビュー作「いつか深い穴に落ちるまで」に始まって、第二作「孤島の飛来人」、第三作「こんとんの居場所」、そして新作「恐竜時代が終わらない」と、これまで発表した四作品が論じられています。
一部を引用にてご紹介します。全文は下記のサイトで読むことができます。
山野辺太郎がえがく作品の登場人物たちからは、いつも、「受け継ぐ者」としてのつよい責任感がつたわってきます。彼らはつねに、じぶんが目撃しているもの、あるいはその人生そのものを、後続の世代へとなんとかしてつないでいこうとつとめています。
文学とは「送りバント」である―作家・山野辺太郎のこと(note)