『孤島の飛来人』冒頭朗読の動画をYouTubeで公開
デビュー作に続く2冊目の単行本『孤島の飛来人』(中央公論新社)の刊行を記念して、冒頭朗読の動画をYouTube「山野辺太郎チャンネル」にて公開しました。
「決行のときが迫っていた。充分な準備が整っていたとはいいがたく、見切り発車という言葉こそがふさわしかった」
山野辺太郎「孤島の飛来人」作者による冒頭朗読(YouTube)
デビュー作に続く2冊目の単行本『孤島の飛来人』(中央公論新社)の刊行を記念して、冒頭朗読の動画をYouTube「山野辺太郎チャンネル」にて公開しました。
「決行のときが迫っていた。充分な準備が整っていたとはいいがたく、見切り発車という言葉こそがふさわしかった」
山野辺太郎「孤島の飛来人」作者による冒頭朗読(YouTube)
文芸・本のニュースサイト「ナニヨモ」に、『孤島の飛来人』著者インタビューが掲載されました。
「作品を書こうとしたきっかけ」「執筆時のエピソード」「小説を書くうえで大切にしていること」「おすすめの本」などの質問に答えています。
一部を引用にてご紹介します。
とくに心惹かれたのが北硫黄島です。太平洋戦争の激戦地となった硫黄島に比べて、あまり知られていない島ですが、十九世紀の末から戦争末期までの約半世紀にわたって、人々が暮らしを営んでいました。最盛期には二百人以上、最終的には九十人ほど住民がいましたが、戦禍を避けるため、本土への強制疎開が実施されました。その後、元住民がふたたびこの島に戻って暮らすことはかなわず、現在に至るまで無人島となっています。
故郷を追われ、帰ることのできない人々のいだいたであろう無念さに、思いを馳せました。小説のなかだったら、いまも人々の暮らす北硫黄島を描けるのではないか、という考えが浮かんできます。そこには現実の歴史とは別の、もう一つの歴史が隠れている、と想定してはどうか。硫黄島の戦いの場から船で逃れた将兵が、北硫黄島にたどり着いて住民と合流し、いつしか国をつくっていたとしたら……と想像がふくらんでいきました。
全文は下記のサイトで公開されています。お読みいただけますと幸いです。
小説のなかだったら、いまも人々の暮らす北硫黄島を描けるのではないか――山野辺太郎さんインタビュー(ナニヨモ)
『孤島の飛来人』の刊行を記念して、オンラインにてトークイベントを開催することになりました。
代官山蔦屋書店さんによるイベントです。作家の松浦寿輝さんと対談します。
『孤島の飛来人』に関心をお持ちのかたはもちろん、松浦寿輝さんのファンのかた、文学が好きなかた、自分でも小説を書いているかたなど、いかがでしょうか。文学を読むこと、書くことをめぐってお話しできたらと思います。
申し込み時に事前質問も受け付けていますので、訊きたいことがございましたら、お気軽にどうぞ。
当日、リアルタイムで観られなくても、後日アーカイブ配信での視聴もできます。
参加券は1,100円(税込)。申し込み期限は9月9日19時です。アーカイブ配信を観る場合でも、イベント開始前のお申し込みが必要です。
ぜひご観覧ください。
お申し込みはこちらから(Peatix)
イベントのご案内(代官山 蔦屋書店)
【追記】
写真の1枚目を、『孤島の飛来人』発売後の店頭写真に替えました。クリックすると大きく表示されます。
代官山蔦屋書店さんにて、許可を得て撮らせていただきました。
小説単行本『孤島の飛来人』が中央公論新社より、2022年8月22日ごろ発売となります。
六つの大きな風船にぶら下がり、横浜のビルの屋上から飛び立った男がいた。男は自動車メーカーの若手社員。目指していたのは、小笠原諸島の父島だった。見知らぬ浜辺に打ち上げられて、囚われ人となった男がたどる、数奇な運命。人が住まないはずの北硫黄島に、知られざる国が成り立っていた……。
表題作は『文藝』’19年冬号に文藝賞受賞第一作として掲載された作品です。単行本化に際し、加筆修正をおこなっています。
さらに書き下ろしの短篇小説「孤島をめぐる本と旅」を併録。
僕はいま、凧だろうか。いや、人間アドバルーンだ。いったい何を宣伝しているんだろう。人間の、可能性を? それとも、愚かさを?
(「孤島の飛来人」より)
当サイトの「作品倉庫」に「孤島の飛来人(冒頭)」を掲載しています。
『孤島の飛来人』を書店サイトで探す
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『孤島の飛来人』書誌データ(版元ドットコム)
「恐竜時代が終わらない」が『文學界』2021年7月号〔6月7日〕に掲載されてから一年あまりが経ちました。これを機に、冒頭を「作品倉庫」に収載しました。縦書きで表示されます。
作品全文は、掲載誌にてお読みいただけます。どうぞよろしくお願いします。
いつか本の形にできるとよいなと思っています。
『文學界』2021年7月号の紹介ページ(文藝春秋)
『文學界』2021年7月号をアマゾンで探す
山野辺太郎「恐竜時代が終わらない」作者による冒頭朗読(YouTube)
短歌誌『メルクマール・メルルマーク』にエッセイを寄稿しました。
雨月茄子春さんの個人発行の雑誌です。
エッセイの題名は「すみれを摘みに」。冒頭を引用にてご紹介します。
すみれを摘みに春の野原に出かけたことがある。
山道をしばらく歩いてゆくと、視界がひらけた。草の緑に、青紫の可憐な花。あたり一面、すみれが咲いていた。すみれのあいだを揺らぎながら飛ぶ白い羽、あちらには黒い羽、向こうにはだいだい色の羽、さまざまな色の蝶たちの姿が目に留まる。自分には羽がない。すみれをそっと踏んで歩いた。すみれ、すみれ、と心のうちで唱えてみる。須美礼、と文字を思い浮かべる。目に映る無数の小さなすみれたち。花に表情はあるのだろうか。微笑んでいるようにも感じられる。人の世に生きる憂さを忘れて、心が解きほぐされてゆく。何も知らぬ赤ん坊に還ってゆくようだった。
2022年5月29日(日)開催の第三十四回文学フリマ東京にて頒布されます(越冬隊ブース・タ-10)。
第三十四回文学フリマ東京
また、下記のサイトから通販でも購入できます。
短歌誌「メルクマール・メルルマーク」(うげつなすはるのお店)
12月2日(23:15〜)テレビ朝日系「アメトーーク!」の「本屋で読書芸人」回にて、『いつか深い穴に落ちるまで』単行本と、「恐竜時代が終わらない」(『文學界』7月号)が取り上げられました。番組内でご紹介くださったのは、ラランドのニシダさんです。
おかげさまで、『いつか深い穴に落ちるまで』は発売から3年を経て重版となりました。これを機に、あらたな読者のもとに作品が届いていくことを願っています。
『いつか深い穴に落ちるまで』の紹介ページ
アメトーーク!「本屋で読書芸人」の番組ページ
デビュー作『いつか深い穴に落ちるまで』の単行本が2018年11月に発売されて、かれこれ3年が経ちました。発売3周年記念として、冒頭朗読の動画をYouTube「山野辺太郎チャンネル」にて公開しました。
「日本とブラジルとを直線で結ぶことはできないか。そう彼は考えた」
山野辺太郎「いつか深い穴に落ちるまで」作者による冒頭朗読(YouTube)
『ハテラス船長の航海と冒険』(ジュール・ヴェルヌ著、荒原邦博訳、インスクリプト刊)の書評を寄稿しました。題名は「未知へと向かう旅の航跡」。
『図書新聞』(2021年10月23日付、3516号)に掲載。10月16日(土)発売です。
一部を引用にてご紹介します。
書き出しからして、さりげなくも不穏さが漂っている。
「明日の干潮時、二本マストの小帆船フォワード号は、K・Z船長、リチャード・シャンドン副船長の下、ニュー・プリンス・ドックから行き先不明のまま出港の予定」
これは新聞に出た告知文だという。行き先不明のまま、とはどういうことか。K・Z船長とイニシャルになっているけれど、題名のとおり「ハテラス船長」ならば、Hではないのか。K・Z船長は手紙で指令を送ってくるだけで、姿を見せることがない。行き先も不明なら、主人公の存在すらも不明なまま、船はリヴァプールの港から出帆する。旅というのが未知のものへのあこがれ、好奇心、探究心に突き動かされて始まるものであるならば、この航海は大きな未知をはらんだ究極の旅といってもいいだろう。
(中略)
ふだんの暮らしのなかで、旅に出たいと思っても、なかなか準備が整わず、あるいは状況がそれを許さず、狭い生活圏から足を踏み出せない日々が続くこともある。けれど、この本をひらけば旅は始まる。ジュール・ヴェルヌは、大胆さと粘り強さを併せ持った言葉の冒険家にほかならない。その航跡を追って船を出せば、心躍る旅の時間が流れはじめる。
『図書新聞』は書店で紙版、ネットで電子版が買えるほか、各コンビニのマルチコピー機でプリント購入もできます。書店では、取次休配日の関係で月曜入荷かもしれません。
『図書新聞』のサイトから、バックナンバーの注文もできます。
書評で取り上げた『ハテラス船長の航海と冒険』の詳細は、出版社のサイトにて。
『図書新聞』のサイト
『図書新聞』(10月23日付、3516号)電子版
『ハテラス船長の航海と冒険』出版社のサイト
「こんとんの居場所」が『小説トリッパー』2020年秋号に掲載されてから一年が経ちました。これを機に、「作品倉庫」にて一部を公開いたします。
掲載箇所は下記のとおりです。
冒頭のほか、「こんとんの居場所」の作中作から掌篇三篇を収載しました。
作品全文は、掲載誌にてお読みいただけます。どうぞよろしくお願いします。
『小説トリッパー』2020年秋号の紹介ページ(朝日新聞出版)
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